パナソニック汐留ミュージアムで「パスキン展」を見ました。「狂乱の時代を生きた旅人の軌跡」というタイトルがついた展覧会。ミュンヘン,アメリカ,キューバ,パリ。画家の人生とは旅だったのか,帰る場所はあったのか。パリ時代の版画「放蕩息子の帰還」がとりわけ心に響きます。新橋へ向かいながら空を見上げます。
白金台へ向かって,改修工事の終わった東京都庭園美術館へ。「幻想絶佳 アール・デコと古典主義」が4月まで開催中です。本館の外見は以前の建物とほとんど変化はわかりません。宮様の優雅な生活を思い浮かべながらゆっくりと部屋を回り,増設された新館へ。
杉本博司がアドバイザーとして参加したという新館は,アプローチの波板ガラスが面白くて,うまく撮れるだろうかとわくわくしながらカメラを向けます。建物自体は普通で,展示室も普通のホワイトキューブ。ウジェーヌ・ロベール・プゲオンの「蛇」は確かに迫力があって面白かったけれど,それを「本展のメインビジュアル」(チラシより)などと銘打つセンスがよくわからない。心身に余裕がないので,ついつい文句が多くなります。
文京区駒込の東洋文庫ミュージアムでは「もっと知りたい!イスラーム」展を見ました。時期的に,不穏な影響がなければよいなという思いは杞憂でした。静かな展示室で貴重な文書や史料をじっくり眺める。特別公開の文庫名品コーナーの「朝鮮風俗図巻」の鮮やかな人物像に惹かれる。オリエント・カフェへ向かう回廊の壁には様々なアジアの文字が刻まれていて,その見慣れない文字の躍る姿は眺めるだけでも楽しい。