2015-07-06

2015年6月,西安(2),兵馬俑






 コメントはのちほど。→と書いてから一月が経過してしまいました。35度超の猛暑日も続き,完全に脳ミソがパンク状態。編集者からの理不尽なフィードバックに脳内で何かがプツンと音を立てて切れたのを自覚して,今日は一日ストライキを決行することにして(しわ寄せがふりかかるだけなんだけど。。),朝から写真の整理などなど。

 兵馬俑は理屈を超えて惹かれる芸術(と言ってしまおう)の一つ。とにかく現地で見てみたいと思い続けていたので,バスが遺跡に近づくに連れて興奮状態もマックスに。こんなとき,落ち着いて自分の目や身体で感動をかみしめればよいのだけれど,なにしろ凡人なので,やたらと写真を撮りまくるという行為に及んでしまう。

 兵馬俑坑博物館は有名な第一号抗から。高鳴る胸を抑えつつ足を踏み入れると,あれ?全体が一望できる。何しろ積年の妄想で,もっと大きいのかと思ってました。といっても壮大なスケールであることにはちがいなく,整然と並ぶ兵士の後方には修復を待つ兵士たち,まだ地中に埋まった状態の兵士たちも控えています。

 第二号抗では状態のよい兵士や彩色俑がケースに収まり,美しい照明のもとで展示されています。日本で展覧会で見るときはこういう選抜隊だけなわけで,やはり現地でずらっと並ぶ彼らは,想像していたよりずっと生々しい。

 文物陳列館ではこなごなの状態から復元された二号銅車馬を見る。これは2004年の大兵馬俑展(上野の森美術館)に出展されていました。ドラマチックな照明です。紀元前にこれが創られたということ,そして時を経て無数の断片から復元されたということへの二重の驚きで,口がぽかんとあいてしまいます。

 今回,「始皇帝陵と兵馬俑」(鶴間和幸著,講談社学芸文庫 2004)がとても参考になりました。ガイドブックとして「世界の美術館 陝西歴史博物館と兵馬俑博物館」(講談社 2010)も携えていきました。

2015-07-04

2015年6月,西安(1),長い道のり

 西安への3泊4日の短い旅から帰って一月がたってしまいました。今年は案件が重なる一年で,なかなかゆっくり写真を整理したり読んだ本を振り返る時間がとれません(泣)。なので,簡単な忘備録として。

 広大な中国大陸への旅は,移動手段と食事の手配を考えて迷わずツァーに申し込みました。西安へは中国東方航空の上海乗り継ぎ便を利用して約7時間のはずが,出発便も乗り継ぎ便も出発が遅れて,西安へは深夜の到着でした。乗り継ぎの上海空港はあまりの大きさにひっくり返りそうになる。到着口から入国審査を経て乗り継ぎゲートへ。
  添乗員なしのツァーなので,乗り継ぎは現地の航空会社係員が頼りです。早口で「シーアン!シーアン!」と叫びながら,早足で広大な空港を駆け抜ける彼の背中を必死,という感じで追いかけます。動く歩道はないんだな。

 空港で迷子になってそのまま上海の街を彷徨う姿を妄想しながら,上海の疎開が舞台のカズオ・イシグロ「わたしたちが孤児だったころ」(早川書房)を思い出す。

 西安便も遅れ,空港には深夜に到着。「地方空港」などという概念はこの国にはない。まるで砂漠のような広さの空港は,滑走路からターミナルまでが地下鉄一駅分くらいあるんじゃないか,という距離。はるか昔,遣唐使はいったいどうやって日本から唐の都長安へやってきたんだ?とにかく,バスに乗り込んでホテルへ向かいます。翌日は念願の兵馬俑博物館!