2018-12-24

2018年12月,ソウル(3),「大高麗展」(韓国国立中央博物館)

  ソウル2日目は早起きして中央博物館へ。地下鉄出口から博物館前の広場の雪景色を眺めて1枚。「冬のソナタ」みたいな感じである(年がばれる。。)
 
 平日だからか団体の子どもたちがたくさんいて,博物館全体がうきうきしています。今回の旅行の目的の企画展「大高麗」展は平常展示館の向かいにある企画展示室で開催されています。高麗建国1100年記念の大きな展覧会とのことで,東博みたいに大行列かと思いきや,チケット購入も入場もすんなりでした。ちょっと肩すかしをくらった気分。
 「高麗」はGORYEOなんだな。「大高麗」はハングルで대고려。一応,入門コース3か月で読むだけなら何とかなってるよ! さて,展示は4つのパートで構成されていて,当時の新技術への挑戦という位置づけの高麗青磁の逸品の数々と,その結果として到達した芸術性の頂点という位置づけの高麗仏画や螺鈿漆器が展示のメインです。しかし!どの展示を見ても,あまりのすばらしさに言葉も出ない。
 
 青磁にしても仏画にしても,日本の美術館で見るのとはなんというか迫力が段違いで,圧倒されっぱなしでした。第2章のWisdom of 1100 years -The way to the Temple-の経典や仏像の展示には,ここを通って日本へ来たのだ,という精神性の源流が具現化しているわけで,ぐうの音も出ない。海印寺の大蔵経はいつか見に行きたいなあ。
 
 第3章のA place of Teaも「茶」の精神性とはこういうものだ,と言わんばかりの美しい展示と,お茶の香りが漂うおしゃれな会場の仕掛けにやられました。
 
 日本語の案内には「高麗げた融合統合成果韓国人内在するもうつの遺伝子なのです本特別展から高麗われた中世王朝としてえるのではなく現在における高麗意味つけることができるでしょう。 」とあります。 
 美しい青磁や仏画がきっかけで惹かれた「高麗」の世界と精神に触れることができて,本当に来てよかった! このあと,平常展示館でも高麗青磁や李朝白磁などを。考古展示では新羅の金製の指輪に再会して大満足でした。見終えて疲労度もマックスだったので,特集展示「カザフスタン」展は翌日に持ち越し。 

2018年12月,ソウル(2),尹亨根展(韓国国立現代美術館)

 出発前の天気概況を見てかなりの寒さを覚悟していたものの,金浦空港に着陸間近の機内で「到着地の天候は雪です」というアナウンスを聞いて動揺しまくり。ただ,降雪は到着日の朝までだったらしく,市内へ入るころには気持ちのよい青空が広がり,雪景色がまぶしい午後です。ソウルは冬がきれい,と言ってた知人の言葉を思い出しました。
 
 まずはMMCA韓国国立現代美術館へ,尹亨根(Yun Hyong-Keun)展を見に出かけます。ちょうど昨年の今頃,東京オペラシティアートギャラリーで見た「単色のリズム 韓国の抽象」展で魅了された作家。まとめて見ることができてとてもうれしい。美術館はシンプルそのもので潔い美しさ。
 尹亨根の作品はほとんど"Burnt Umber & Ultramarine Blue"のように色そのものがタイトルになっていて,その名のとおり深い茶色と青の絵具によって構成されていて,それは大地の色と空の色ということ。つまり,万物がそこに還る場所という意味がそこに込められています。
 壁面に画家の言葉が引用されていて,思わず引き込まれます。1980年の日記の一節を思わずメモする。(ハングルと英語の併記でした。)
 When we get emotional, it's because we're feeling all emotions at once; joy, sorrow, grief, and happiness.  Sorrow is the inverse of joy.  In other words, the ultimate beauty is joy and sorrow, simultaneously.  That's why art -especially the most beautiful art- is always sad.
 
 究極の美しさとは悦びであり,哀しみである,か。隣国とはいえ,異国で一人,美しい抽象画を前に何だかじわっときました。単色画の画家でもう一人,同館のコレクションに入っている鄭相和CHUNG Sang-Hwaが気になっていて,Book Shopで作品集がないか尋ねてみるも,No book!の一言で撃沈。残念。
 
 MMCAではほかにハルーン・ファロッキのビデオアートと,チェ・ジョンファ展を。あっという間に夕暮れ時になって,ほど近いタンパッチュ(甘くないお汁粉)の人気店へ。えっと。お汁粉は甘いほうがおいしいな。と思いました。。 

2018-12-16

2018年12月,ソウル(1),買ってきた古いもの・木人形

  少し間が空いてしまいました。新しい案件を抱えつつ,2泊3日の旅程で極寒のソウルに行ってきました。ソウルは3回目。市内の移動くらいはさすがに慣れてきて,いろいろ詰め込みましたがほぼ予定通りに回れました。前々回に木製品をいくつか買い求めた骨董街では今回はこんな木人形(モギン)を。

 朝鮮時代後期の木彫像です。喪輿(サンヨ・柩を載せる輿)などを装飾したものということらしい。韓国のトラのモチーフが大好きなので,思わず手に取って一緒に日本へ。骨董街では李朝の水滴も探したのですが,その顛末はまた後日。