英国絵画の展覧会を見に行くのは久しぶりな気がします。チラシに使われているのがウォーターハウスの作品なので,おや,やっぱりウォーターハウスはラファエル前派の作家というくくりでよいのか,と確かめに行くような心持ちで渋谷へと向かいます。
ロンドンのTate Galleryで見たラファエル前派展ではウォーターハウスは出展されていなかったのがとても残念だった記憶が新しいのですが,さて,bunkamura。平日というのに大変なにぎわい。若い男性がじっとホルマン・ハントの絵の前に佇んでいたのが印象的でした。
全部で65点,リバプール国立美術館所蔵の作品で構成されていて,最初の8点はエヴァレット・ミレイが並んでいます。「良い決心」という作品が魅力的です。原タイトルを忘れてしまったのでリバプール国立美術館の所蔵ページを検索したところ,この作品はオンラインでは公開されていないみたい。まあ,確かに「愛と詩,そしてロマンス」という副題のついた展覧会の中では地味な作品だったかもしれない。
チラシの文面も,会場内の解説文もやたらと難しい表現を用いてるように思えたのですが,ゆっくりと1枚ずつと向き合っていると,難しいことは抜きにしてこの耽美な世界を楽しめばよいのでは,と思えてきます。当時の観客たちもさぞかし萌え(?)の気分を楽しんだのでは,などと考えながら楽しい時間を過ごしました。
蛇足ながら,ウォーターハウスは最後の第Ⅳ章「19世紀後半の象徴主義者たち」というコーナーに並んでました。なんだ,やっぱりあくまでラファエル前派の影響を受けた作家ということなんだ,と納得。大作が3点並んでいて,ああ,ウォーターハウス展が開催されるといいなあと思うことしきりです。
2016-02-29
2016-02-15
2016年1月,お能の公演と展覧会の覚書
記憶に残っている限り,人生初のインフルエンザに感染。あまりの頭痛の辛さに死ぬかと思いました。。月並みだけれど,健康のありがたみを痛感すると同時に,日常のすぐ隣には日頃の生活では想像もつかない,暗く深い淵が存在するのだとも実感する。
ようやく元気が戻って,今更ながらいくつか1月の記録を。国立能楽堂には1月の特別公演を見に行きました。能「鱗形」,狂言「舟船」,能「唐船」という番組です。一番楽しみだったのが「唐船」。
日本に抑留された祖慶官人を中国に残してきた息子たちが迎えにくるのですが,日本で生まれた子たちは中国へ渡ることを許されず,祖慶は苦悩する,というお話。日本の役人である箱崎某がとにかくいじわるな役回りながら,ワキ方の福王和幸さんのりりしい姿に,ほかのことはそっちのけになる。
祖慶は結局,子供たち全員と中国へ渡り,船中で舞を舞います。やはりいかにも窮屈な印象です。解説には,狭さを感じさせない幽大な舞と書いてあったけど,うーん。という感じ。ちょっと睡魔に襲われる。
ほかに1月は金沢で「新・古能面展Ⅳ」を金沢能楽美術館で。加賀宝生の古面と,現代能面美術展(公募)の入賞作品の展示です。能面の公募展があるのか,ということに驚く。さらにそこに「現代」と銘打たれていることも。お正月から展示室はたくさんの来館者で賑わい,1階エントランスでは能面製作過程の展示や能衣装の試着など,古都の生活に根差した能楽の一面を垣間見た思い。
最後に忘備録として,昨年のことになってしまいますが,2015年12月には櫻間会の公演「草木国土悉皆成仏」を楽しみました。地唄「雪」,能「初雪」と韓国のビョクサ・ダンスカンパニーによる韓国舞踊の公演です。韓国舞踊はとても興味深いものでした。機会があれば項を改めて。
2016-02-01
2016年1月,東京南青山,「松竹梅」展
まさに厳冬の時期,寒さはこたえるけれど,東京の冬の空のきりりとした青さには胸がすく思いがします。招待券をいただいたものの,正月明けになかなか時間がとれなかった根津美術館の「松竹梅」展にやっとでかけてきました。ぎりぎり1月中にセーフ。
根津美術館は,はるか昔(?)に燕子花図屏風を見にでかけて以来です。リニューアル開館はずいぶん話題だったけれども,それも2009年のこと。で,そのおしゃれな佇まいの美術館は,いかにも隅研吾な美術館。ガラスと竹を硬質に組み合わせて,これぞ現代に生きる和の空間である。という建物はサントリー美術館とコンセプトがそっくり。はるか昔の記憶しかないけれど,もの静かでどっしりとした美しい美術館だったのになあ,と思ってしまう。
展示室1の「松竹梅」展はコレクション展で,ひとびとが古来,自然から受け取ってきた霊的なるものの力を「美」と具現化したものたちが静かに並んでいます。日本のものが多いですが,明代の「墨梅図」(陸復筆)や李朝の染付なども。
展示室2は能装束のテーマ展示。展示室3とホールは仏教美術の展示。クシャーン朝のガンダーラ仏にうっとりする。そして2階の展示室4では古代中国の青銅器の展示に大興奮!おお,双羊尊が常設展示されている!昨年の特別展示を見逃してしまったのが痛恨だったので,今回じっくり鑑賞しました。ガラスにへばりつく。
午後は国立能楽堂へ向かう予定があって,企画室5の百椿図と企画室6の初月の茶会は足早に。庭園のカフェも素敵らしいので,次回の仏教絵画展にまた来ようと決めて美術館をあとにしました。いざ,1月特別公演の「唐船」を楽しみに千駄ヶ谷へ。
根津美術館は,はるか昔(?)に燕子花図屏風を見にでかけて以来です。リニューアル開館はずいぶん話題だったけれども,それも2009年のこと。で,そのおしゃれな佇まいの美術館は,いかにも隅研吾な美術館。ガラスと竹を硬質に組み合わせて,これぞ現代に生きる和の空間である。という建物はサントリー美術館とコンセプトがそっくり。はるか昔の記憶しかないけれど,もの静かでどっしりとした美しい美術館だったのになあ,と思ってしまう。
展示室1の「松竹梅」展はコレクション展で,ひとびとが古来,自然から受け取ってきた霊的なるものの力を「美」と具現化したものたちが静かに並んでいます。日本のものが多いですが,明代の「墨梅図」(陸復筆)や李朝の染付なども。
展示室2は能装束のテーマ展示。展示室3とホールは仏教美術の展示。クシャーン朝のガンダーラ仏にうっとりする。そして2階の展示室4では古代中国の青銅器の展示に大興奮!おお,双羊尊が常設展示されている!昨年の特別展示を見逃してしまったのが痛恨だったので,今回じっくり鑑賞しました。ガラスにへばりつく。
午後は国立能楽堂へ向かう予定があって,企画室5の百椿図と企画室6の初月の茶会は足早に。庭園のカフェも素敵らしいので,次回の仏教絵画展にまた来ようと決めて美術館をあとにしました。いざ,1月特別公演の「唐船」を楽しみに千駄ヶ谷へ。
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