呉服屋さんの展示じゃないのだから,色鮮やかでおしゃれなデザインが並んでいるわけではありません。歌川豊国など,期待通りの浮世絵の展示に始まり,ゆかたの原点として葵の御紋(!)の武家男性の麻地の浴衣2点にはびっくり。17世紀後半とのことだけど,日常着である麻がこんなにきれいに保存されてるんだ。
そして時代を追って,江戸の町の賑わいが目に浮かぶような,女性の大胆な意匠のゆかたの展示に続いて,デザインや技法を見せる展示へ。で,こちらも保存状態のよいことに驚きの連続でしたが,「いき」を絵に描いたような(実際,染めたわけですね)源氏香の模様のこの1枚に感動。こういう柄は今時見ないな(→展示の最後に思わぬ仕掛けが)。
型紙や,型染見本帳も興味シンシン。そして明治から大正,昭和へと絞りのゆかたやモダンなデザインの展示へと続き,人間国宝の技術や画家のデザインの紹介など,ゆかたの美の魅力を堪能しました。
展示の最後は現代のゆかたとして2点,そのうちの1点が京都の山口源兵衛作とのこと。あれ?山口源兵衛って誉田屋源兵衛? 4月に京都を訪れたとき,京都グラフィエの会場になっていて,伝統と先鋭なアートの結びつきが印象に残っているのです。さすがにかっこいいデザイン。その意匠はなんと源氏香! やられた、となりました。
いやあ,想像以上に楽しい展覧会でした。今年の夏はゆかたを着よう。前期展示は6月16日まで,後期は6月18日~7月7日まで。前後期でゆかたはほぼ入れ替えとのことなので,ぜひ後期も足を運んでみたいです。
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