久しぶりに舞台を見に行く。2020年の舞台が中止になってがっかりしていた「未練の幽霊と怪物 『挫波』『敦賀』」。チケットが取れてよかった。KAATの中スタジオの5列目ほぼ中央は絶好の位置だった。
作・演出の岡田利規は2013年頃から能へと接近しているのだという。本作は「能と現代演劇の橋掛かり」だと指摘する劇評が朝日新聞(6/17夕)に掲載されている。そんな予備知識は皆無で、ただ森山未來の身体表現を見たいというそれだけの理由ででかけたのだった。
『挫波』は森山未來がシテのザハ・ハディドを演じる。幻の国立競技場の無念,成仏できない建築家。夢幻能の形式そのままに,あの世から呼び戻された後シテのザハの魂が森山未來の身体を借りて舞う。鼓笛と謡のドラマチックな演奏に合わせて舞う。
息を詰めてその舞を見ていると胸が締め付けられるようだった。幻のスタジアムを忘却していく私(たち)への呪詛なのか。それとも,そういう演劇としての意図とは別の次元で森山未來の身体の放つ強烈なエネルギーに圧倒されたのか。終演後,椅子から立ち上がるのがやっとだった。
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