写真美術館で9月までの長い会期で「メメント・モリと写真」展が開催中です。副タイトルに「死は何を照らし出すのか」とあります。
TOPコレクションということだったので,すべて写真美術館の所蔵作品で構成されているのかと思いきや,展示入口のハンス・ホルバイン(子)の木版画と最後の小島一郎はそれぞれ国立西洋美術館と青森県立美術館の所蔵品です。小島一郎のオリジナルプリントとの邂逅はとてもとても嬉しい。
時代も国も様々ないわばオールスターの写真家たちの作品が,メメント・モリというテーマのもとに展示されている様は圧巻です。中世ヨーロッパのキリスト教世界の言葉「死を想え」が,現代を生きる私たちのもとへ差し出される媒介としての写真。写真の中の「過去の時間」の集積を見ながら,観客は生きること死ぬことの意味を考える。
どの写真家も,厳選された作品という意味でとにかく強い作品ばかり。ロバート・フランクの十字架を背負う男。ウジェーヌ・アジェの誰もいないパリの街。挙げ出したらきりがないけれど,思わず家に帰って写真集を繰り返し見た作家たち。マリオ・ジャコメッリ。小島一郎。牛腸茂雄。
すばらしい展覧会でした。今年一番かも。
0 件のコメント:
コメントを投稿