時間はたっぷりあるはずなのに,日々を慌ただしく過ごしてしまい,出かけた展覧会の記録などをすっかり怠けてしまいました。この秋の忘備として展覧会のタイトルだけでも残しておかないと。
東京都写真美術館で「風景論以後」展。刺激的な展覧会だった。とにかく中平卓馬のプリントを見たくて出かけて,その壮絶な力に圧倒されて帰ってきた。出品リストにこんな一節が引用されている。「だから今その来たるべき変身のために,ぼくは全てをまさしくぼくに敵対する「風景」としてみつづける。そしてぼくは待つ、次は火だ!(中平卓馬「風景」『デザイン』1970年)」
アーティゾン美術館で山口晃「ここへきてやむに止まれぬサンサシオン」展を見る。本当に凄い人だ。旧作も多いし,今展のための新作はちゃんと完成しているし(!),見応え十分(観客に不完全燃焼の想いを抱かせないという意味で)な展覧会。小林秀雄のセザンヌ論を読み返してみようと思う。書棚の「近代絵画論」のページをちょっと繰ってみてこんな一節に妙に納得する。「セザンヌは,自然というところを感覚と言ってもよかったのである。」(新潮文庫版p.72)
久しぶりの東洋文庫で「東南アジア 交易と交流の海」展。少し前にNHKでここのバックヤードを紹介する番組を見て,アンコール遺跡を描いた「インドシナ紀行」を見てみたかったのである。他にも面白いものが綺羅星のごとく並ぶ。これはヤシの葉に書かれたパーリ語聖典。河口慧海の旧蔵だという。こういう来歴を知るのも時空を旅するようで楽しい!
0 件のコメント:
コメントを投稿