2015-11-16

2015年11月,東京丸の内,プラド美術館展

 三菱一号館美術館で開催中の「プラド美術館展 スペイン宮廷 美への情熱」展を見てきました。プラド美術館の膨大なコレクションからエル・グレコ,ベラスケス,ゴヤのスペイン巨匠を始め,フランドルの巨匠ボスやルーベンスの作品が来日している評判の展覧会。

 名前を見るだけでは,あの美術館にそんなに大作が並べられるだろうか(物理的に)と思ってましたが,意外なことに「小さい絵」がほとんどなのです。プラド美術館で2013年に「小さい絵」という基準で選ばれた作品で構成された展覧会「Captive Beauty-Treasures from the Prado Museum」の世界巡回展なのだそう。

 ほう,そういうことかと思いながら展示室を進むと,これがとても楽しい。「小さい」ので,一つ一つを覗きこむように眺め,細密画を見ているように細部にまで意識が届きます(会場がそれほど混んでなかったおかげもあるのですが)。

 ぜひ見てみたかったボスの「愚者の石の除去」は縦48.5センチ,横34.5センチというサイズ。人物の奇妙な描写や遠景を,板絵の繊細で緻密な表現で楽しむことができて面白かった。写真はヤン・ファン・ケッセルの「Asia」というタイトルの銅版に油彩の11枚組絵。(主催者の許可を得て撮影したものです)
  歳を重ねてこのところ,「記憶」ということについてよく考えます。何かを「覚えている」「思い出す」とは人の生においてどんな意味があるのだろう。

 私の場合,何かを「見る」ことでまざまざとある事柄だったりものそのものを「思い出す」ことがとても多いのです。この日,ボスを見ていてミュンヘンのアルテ・ピナコテークの一室でデューラーを見たあと,ボスの展示の前で日本人の女の子と短い言葉を交わしたことを思い出しました。フランス・ハルスやメムリンクもしかり。人は最後に「ああ,楽しかった」と思うために生きているのかもしれない,などとつらつら考えてしまった一夜でした。 

0 件のコメント: