2018-04-01

2018年3月,東京初台,「谷川俊太郎」展

 オペラシティアートギャラリーで3月25日まで開催されていた谷川俊太郎展にでかけた。詩人の展覧会ということで,ゆっくり静かに詩の世界を堪能できるかと思いきや,大混雑。まさに老若男女問わずという感じで,ここにいる人たちそれぞれの「谷川俊太郎」がいるのだろうな,と思いながらそそくさと会場をまわった。
 
 絵本や翻訳も多い。「仕事」として言葉を紡ぐ人。数年前に飯田橋文学会の主宰する文学インタビューでも認識したのだが,「詩人という職業」の人なのである。
 私が中学生か高校生くらいのとき,「現代の詩人」といえば谷川俊太郎だった。年を重ねて,多くの詩を読み多くの詩人を知っていく過程で,なんとなく谷川俊太郎は過去の人になっていってしまった。展覧会場の一角にこれまでの著作を並べた書棚があり,その中の思潮社版「谷川俊太郎詩集」に思わず惹きつけられる。
 
 函も本体もヤケて,私が十代のころからずっと手元にある。書棚から埃をはらって,件のインタビュー時にサインしてもらった。今,パラパラと頁をめくっても複雑な感情しか沸いてこない。私にとって谷川俊太郎という詩人は何者なのだろう。
 
 「私のうそへ私は行き/私のうそから私は帰る/沈黙が私とうそとを隔てる時/枕が固すぎて私は眠れぬ夜をすごす」(私の言葉2より部分引用)(谷川俊太郎詩集p.418)

0 件のコメント: