2019-08-14

2019年8月,北陸の夏,鈴木大拙館・富山県立山博物館・鈴木雅明のバッハ

 ここ2年程,北陸へ足繁く通っていた事情がこの夏,最後になった。不謹慎な感情ではあるのだが,ほっとしている。これからはまた年に1度くらいの頻度になるだろう。今回の滞在も慌ただしく,心休まらないものだったが,寧ろ気を紛らわせようとでかけた記録を。

 まずは鈴木大拙館で『道法自然-「大谷大学と宗教研究」再現展ー』と題した展覧会を見る。キャプションや説明のまったくない室内を一周して,何の展示だかさっぱりわからない。壁のポケットに解説のプリントが3枚。暗い展示室で目を凝らしてそれを読んで,やっと展示の意味がわかった。
 
  思索のための空間ということはわかる。しかし,もう少し親切でもいいじゃないのか,と実はシニアグラスを忘れてプリントを読むのに苦労した八つ当たり(?)もしたくなる。館内にはほかにも思索のヒントになるプリントが用意されていた。「大地をそれが与えてくれる恵みの果実の上でのみ知っている人々は,まだ大地に親しまぬ人々である。大地に親しむとは大地の苦しみを甞めることである。」(「日本的霊性」より)

 富山県立山博物館は,惹かれてやまない能の「善知鳥」の僧が漁師の亡霊と会った場所という縁で前から一度行ってみたかった場所。交通手段が限られるので,今回はレンタカーを借りてレッツゴー。
  展示館・遙望館・まんだら遊苑で構成されている。期待通り(?)の地獄押しである。企画展「立山ふしぎ大発見⁉」も面白かった。なぞの予言獣「くたべ」のキャラクターは脱力感満載。
  展示館から布橋を渡って遙望館へ向かうも,橋を渡ったところに墓地が広がっているのには,まさか?と目を疑ったくらい驚く。博物館の敷地の中に墓地って。いや,逆なのだ。ここは姥堂があった場所が展示施設になっているわけだから。布橋はまさに此岸と彼岸の境界。なんだかこの夏はあちらとこちらを行ったり来たりしてるみたいな気分。

 金沢では初めての石川県立音楽堂で鈴木雅明のオルガンも聴いた。こちらは「真夏のバッハ」というプログラムで,コラールパルティータ「慎み深きイエスよ,挨拶をお受けください」の聖なる響きに心が震える。ちょっと鬱々とした気分がまさに浄化されるよう。

0 件のコメント: