タイプショップgプレス社からヴィンケルハーケン叢書1として出版されている「ボタニスト パリの標本館を築いた植物学者たち」(マルク・ジャンソン著 シャルロット・フォーヴ編 佐々木ゆか訳 中原毅志監訳)を読了。出版社も叢書の名前もまったく未知なのだが,手に取ったのはこれはもう「ジャケ買い」としか言いようがない。
ボタニストたちの想像を絶する人生やその仕事を楽しく読み進めたが,それよりも(?)この本を出版した人たちが気になって,タイプショップgプレス社のHPを見てみる。なるほど,グラフィックデザイナー、タイポグラファーの小泉均氏が代表の会社だそう。
横組みも洒落ているし,コンパクトなソフトカバーの造本も手になじむ。何よりカバーのシダ類の標本の写真と地色のレイアウトが素敵。ジャケ買い,大成功の1冊! もちろん中身も楽しい。こんな一節が心に残る。
「わたしたちは彼らよりうまくやれるだろうか? わたしはそうは思わない。それに,今日,誰が野生のケシのために命をかけるだろう? もはや花を求めてアビシニアやネパールで命を落とす者はいない。当時派遣された者たちの多くにとって,生物の目録は神を追求することでもあった。大半が科学者というよりは聖職者であった事情を考えれば,地上に生きとし生けるものの目録は創造主の無限性における全能を証明するものであったのである。」(p.221)
すっかり影響されて,神保町の鳥海書房に植物画ハンティング(!)に出かけた。Curtis Botanical Magazineのカゴを1枚ずつめくって,1812年のこの1枚をハンティング。エリジウムの1種のようだ。アクリルのフレームに入れてシンプルに飾ろう。
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