2012-08-26

読み返す本,「禅と日本文化」(鈴木大拙)

 書棚の奥の方に「禅と日本文化」(岩波新書)を見つけました。かなり黄ばんでいます。高校の国語の授業で先生が紹介してくれて購入した記憶があります。かなり背伸びしていたな,と思いながらページをめくってみます。


 この本は鈴木大拙が英語で著したZen Buddhism and its Influence on Japanese Culture(1938)の前編6章に別の1章を加えて日本語に訳されたもの。「禅の予備知識」「禅と美術」「禅と武士」「禅と剣道」「禅と儒教」「禅と茶道」「禅と俳句」の7章です。

 読み通した記憶さえなかったのですが,意外なことにところどころに鉛筆の傍線が。茶道部に入っていたので,特に「禅と茶道」の章を読み返すと,過去の自分に向き合うようです。

 「禅の教義は,形態を超越して精神を把握することなのであるが,それは,われわれに自分たちの住む世界は特殊諸形態の世界である事実,精神は形を媒介としてのみ表現される事実を想起させることをけっして忘れぬ。」(同著P125より引用)という部分は赤鉛筆で囲んであって,茶道の作法を覚えるのに必死だったころを思い出します。
 
 相変わらず,読み通して理解できるかはかなり怪しいですが,年を重ねての再びの出会いをうれしく思いつつ,傷んだ表紙に大切に紙をかけて読み返すことにします。