2017-03-19

2017年3月,東京両国,「江戸と北京」展

  両国の江戸東京博物館で4月9日まで開催中の「江戸と北京 18世紀の都市と暮らし」展を見てきました。チラシに躍る「似てて,違って,おもしろい。」が何とも言い得て妙。

  チラシには「これまで清朝の芸術や宮廷文化に関する展覧会は数多くありましたが,北京の都市生活を江戸と比較する企画は,今回が初めてです」ともあり,確かに今まで見たことのあるような文物が並んでいても,その切り取り方の意図がとてもわかりやすくおもしろく,知的な興奮に満たされる展覧会でした。

 北京の文物は故宮博物院と首都博物館の収蔵品で構成されています。2012年に短い北京旅行を楽しみましたが,万里の長城や故宮を駆け足でめぐるツァーで,首都博物館はむろん,故宮も建物の見学がほとんどでした。文物の展示をもっと見たかったなあ。これは裏の景山公園から故宮全体を見渡したところ。故宮をもっとも美しく見れる場所,とガイドさんが言ってた。
  さて,展示の目玉は3本の絵巻です。江戸は日本橋の賑わう様子を描いた「熈代勝覧(きだいしょうらん)」(ベルリン国立アジア美術館)。北京は清朝の乾隆帝が1790年に80歳を迎えた際の祝賀の様子を描いた「乾隆八旬万寿慶典図鑑」(故宮博物院)と,「万寿盛典」(1717 首都博物館)です。

 「乾隆八旬万寿慶典図鑑」はとにかく保存状態がすばらしく,色彩が瑞々しい。国外初公開とかで,作成当時のままの梱包で日本に届いたのだとか。じっと眺めていると当時の北京にタイムスリップ!

 「万寿盛典」は康熙帝の60歳の誕生祝賀行事を描いた書物をつなぎ合わせて巻物状にしたもの。無彩色ですが,描写の勢いや画面の躍動感がとても魅力的。私の好みはこちら。これらを詳しく比較した図録の論文が読み応え十分です。(展示室内の画像3枚は博物館の特別な許可を得て撮影したものです。)
  展覧会全体は「江戸・北京の城郭と治世」,「江戸・北京の都市生活」,「清代北京の芸術文化」の三章構成になっていて,それぞれ印象に残ったものを。雍正帝の礼服。蓮の花の被せガラスの鼻煙壷(4点のうち)。八大山人の書画一幅。理屈を超えて好きなものは好き,というチョイスです。ああ,眼福。
  ところで,2012年の北京旅行の写真を見返していて,やはり5年も経つと記憶が曖昧なことを実感。故宮の内部は一体何を撮ったのか忘れてしまっています。こんなに朱の色が印象に残ったっけ?という写真が多い。遠い旅先の写真は,間違いなくそこに在ったもので,今もそこに在るはずのもので,でも撮った私は(おそらくは)二度とそこには立つことはないだろう,という証明のようなものだ。

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