2019-05-11

2019年4月,滋賀信楽,「大徳寺龍光院 曜変天目と破草鞋」展

  京都から石山駅へは15分くらい。石山駅前から目指すMIHO MUSEUMへは直行バスで約1時間。大徳寺の曜変天目が展示されるとあって,「大徳寺龍光院 曜変天目と破草鞋」展会期中は大混雑のよう。私がでかけた4月下旬,駅にはバスを待つ長蛇の列が。臨時便に乗って,山の中の美術館にたどり着きました。
  おお,これが。とは思いましたが,自ら「桃源郷」というのはいかがなものか。熱海のMOA美術館に雰囲気がそっくりです。ちょうど枝垂桜が見頃の時期で,トンネル内部には桜並木を撮影する人垣ができてました。だれもがカメラマン気分。
 
 さて,肝心の展覧会は,やはり曜変天目に尽きる,というか。なんとなく,三碗制覇のためにやってきました的な気分もどこかにあったのですが,実物を眼の前にすると,とにかくその美しさにぐうの音も出ません。
 
 静嘉堂と藤田美術館のどちらにも似ていない。古色というか,400年存在してきたという強さというか。ずっと禅寺に守り抜かれてきた高貴さというか。財界人の手の間を渡り歩いてきたという,どこか生々しい感じがないわけです。
 
 例によって立ち止まらずにケースの周りをぐるっと回っておしまいでしたが,その後,人垣越しにしばらく眺めて大満足。
 
 さて,この日は幸運にも大徳寺龍光院の小堀月浦和尚様による座禅の会が開催されるとのこと。ちなみにこの展覧会題字は和尚様の直筆だそう。 
 座禅の会は参加してよかったな。和尚さま曰く,「あのお茶碗をたくさんの人に見てもらえるのは大切なこと。でもあれは石に落とせば割れます。火に焼かれても割れます。それよりもこの座禅を通して仏の教えを大切に持ち帰ってください」(みたいなことを仰いました。うろ覚えです。ご容赦を)。
 
 つまりはあのお茶碗は仏の教えを知るための道具ってことなのかな。そういえばこの展覧会の英語タイトルは”Living in Zen and the Daitokuji Ryokoin Heritage”です。あらためて,禅と茶道のことを少し読んでみよう,と思いつつ,美しい桜を再び眺めながら京都への帰路についたのでした。 

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