夜遅くの地震の衝撃に心が塞ぎます。先週まで4月になったら東北に桜を見に行きたいなあとのんきなことを考えていましたが,被害状況が伝わるにつれて心が痛み,復旧を願うばかりです。
都心は何事もなかったかのように電車が動き,人々が足早に行きかいます。人の流れの中で取り残されたかのように,うろうろと賑やかな街を彷徨い歩いてきました。
サントリー美術館で「よみがえる正倉院宝物」展を。連綿と受け継がれる日本の美と手わざに涙が出そうになる。伎楽面の迫力。
フジフィルムスクエアでは水谷章人の写真を。スポーツ写真という括りでは収まらないモノクロームの世界です。広大な雪原に浮かび上がるスキーヤーの黒い影。この場所でなければ,という写真家の強い美意識に打ちのめされます。
少し歩いてアクシスビルのamanaTIGPでは石川直樹の写真展「まれびと Wearing a spirit like a cloak」を。東北から波照間諸島まで,彼の民俗学的フィールドの活動の一端を見ることができます。
仮面をまとうことで異界の人「=まれびと」となる普通の人々。日常と非日常が交錯するその時間と場所を,石川直樹は共同体の中へ入り込んで写真に撮る。その瞬間,人々にとって写真家は一体どんな存在なのだろう。写真家もまた,カメラという仮面をまとう異界の人ではないか,とそんなことを考えてしまう。
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