古書店を衝動買いって。二段組300ページ超の大部だが,店に来る客の珍妙な言動や,従業員たちの奔放な行動などがシニカルなユーモアあふれる筆致で描かれる。アマゾンへの敵意(キンドル端末を撃ち抜く!)など,既存の書店の未来を憂える内容一辺倒ではなく,小遣いを握りしめて本を買いにくる子ども,クリスマスのギフトを選ぶ家族,稀覯本を探し求める客などなどは書店好きの読者の胸を熱くさせる。
故人の蔵書整理の場面は身につまされる。私の蔵書もいずれは家族の負担になるだけなのかも。常々そんなことを考えていて,先月神保町のシェア書店の一棚店主になってみた。一棚ブックセラーの顛末記も近いうちに。スコットランドの本の街ウィグタウンにはいつか行ってみたい。
今はまだ手持ちの蔵書を並べているが,いずれ「棚に並べるために買う」時の参考になりそうなこんな一節。「…エヴァは本の買取に興味を示し,いったい何を基準にして,どの本を買うか,いくらで買うかを決めるのをしりたがった。ぼくはなんとかうまく説明しようと試みたのだが,そこで逆に買取というプロセスの複雑さに気づかされることになった。要するに自分で勝手に決めないかぎりは,ルールなど存在しないのだ。」(p.254)
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