いくつかの案件や短い旅行の合間に出かけた展覧会を記録していなかったので,この夏の忘備録として。
7月末に東京都写真美術館で「田沼武能 人間賛歌」と「本橋成一とロベール・ドアノー 交差する物語」の2つ。田沼展はまさにタイトル通り,きらきらと輝く人間の姿がずらりと並ぶ。本橋とドアノーの写真は人間の輝きも影も捉える。2人の写真家が編み出す物語の舞台は炭鉱,サーカス,市場など共通項があるのだが,却って情報が込み合ってしまい,1人ずつ見たかったな,と思ってしまった。
7月は神奈川県立近代美術館葉山で「挑発関係=中平卓馬×森山大道」展も。葉山館へは初めて出かけた。何度も行きたい展覧会があったのにいつも機会を逃してしまっていたので,今展は開幕してすぐに駆けつけた次第。こちらも2人の写真家の関係性に焦点があてられている。2人展なのでそれぞれの展示の規模がこじんまりとしているのがちょっと残念。今思うと,横浜美術館の「中平卓馬 原点復帰-横浜」展はすごい展示だった。2003年の開催だったから,20年も前のこと。流れた時間に愕然としてしまう。
7月にはほかに,原宿の太田記念美術館で「ポール・ジャクレー フランス人が挑んだ新版画」展を。ポール・ジャクレーも横浜美術館での展示の記憶が蘇る。8月に入って,ステーションギャラリーで「甲斐荘楠音の全貌」展。強烈な個性にちょっとびびる。映画衣装の展示が面白くて,思わず「旗本退屈男」の配信などチェック。
そのままインターメディアテクへ。特別展示「東京エフェメラ」と,牧野富太郎の植物画と,江上波夫氏蒐集の「幻人紀行-ユウラシア蒐集録」を見る。どれだけ時間があっても足りないので駆け足。そして何と(!)その足で上野へ向かい,「古代メキシコ展」を。我ながらあっぱれの展覧会ハシゴである。しかも酷暑の中。とにかく面白かったとしか言いようがない展覧会。全編を通して,「生贄」が象徴する死生観が生々しく迫ってくる。若い頃なら,いつかメキシコに行ってみたいものだ,と思うところだが,今回は「死ぬまでにメキシコに行くことなんてできるだろうか」と思わず独り言ちてしまった。
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