2025-02-18

2025年2月,群馬高崎(2),「英国王室に咲くボタニカルアートとウェッジウッド」展

 コンサートの翌日。朝から猛烈な強風で,ホテルを一歩出ると,歩くのはもとより立っているのもやっとです。かみつけの里博物館に「子持勾玉」を見に行こうと思っていたのだけれど,バスを待つのもバス停から10分歩くというのもこりゃあ無理だとあっさり断念しました。タクシーを使うという発想が浮かばなかったのはなんとも貧乏性ゆえ。。

 そこでというわけではなく,もう1つ楽しみにしていた高崎市美術館「英国王室に咲くボタニカルアートとウェッジウッド」展をゆっくりじっくり味わうことに。古書市や神保町の鳥海書房などで買い求めた植物画は大事な宝物なんだ。惹かれるのはイギリスのCurtis Botanical Magazineのものが多いのですが,今展は第2章がまるまる「カーティス・ボタニカル・マガジン」からの展示。英国のボタニカルアートのおいたちをたどる展示を1点1点,じっくり楽しんできました。

 展示はジェームズ・サワビーとシデナム・ティースト・エドワーズが描いた植物画が多い(というかほとんど)。図譜を見るとき,作者はあまり意識しないかもしれないけれど,やはり個性があります。私の所有するエリジウムはシデナム・エドワーズのサイン。第5章にエドワーズが同じエリジウムを描いたものが展示されていて(『ニュー・ボタニック・ガーデン』所収),なんだか嬉しくなってご機嫌で帰路についたのでした。 

2025年2月,群馬高崎(1),角野隼斗 HUMAN UNIVERSE

 角野隼斗Japan Tour 2025 HUMAN UNIVERSEを聴きに高崎へ。東京公演が取れなかったので遠征したのですが,往路の電車で同世代らしき女性ファンのグループと乗り合わせ,聞こえてくる賑やかなおしゃべりによると,複数回の地方公演遠征は当然のことみたい。海外公演も行きましょう!みたいに盛り上がってて,ワタクシはそこまでは…と内心呟いたものの,体調が良くないのに楽しみに出かけるのだから,十分にミーハーなファンですね。

 ソロ公演は2022年の仙台ぶり。前回はショパンやガーシュインに感動したけど,今回のプログラムは宇宙がテーマで壮大かつ哲学的なもの。バッハに始まり,メシアンやドビュッシー,坂本龍一,自作のノクターンなどなどに続いて最後の3曲はスクリャービン,ラヴェル,ストラビンスキー。いやあ面白かった。凄まじい速度で進化していく同時代の才能を目撃できるのは生きている悦びだなあ,と。

 プログラムにはストラビンスキー「火の鳥」に触れて,「不死や再生の象徴として語られ、循環を連想させる作品」と綴る一節に続いて,「私たちが『始まり』や『終わり』として捉えるものも,より大きな視点で眺めれば,果てしない循環の一部にすぎないかもしれません」(プログラムの一部より引用)とあって,はっとする。読んだばかりのフエンテス「聖域」で描かれた「始まりと終わりのある時間を否定すること」の意味を考えながら満月の夜道を宿へと歩いたのでした。