乗代雄介「二十四五」(講談社 2025)はあっという間に読み終える分量で,そして読み終えて物足りなさを感じる物語だった。その物足りなさは分量ではなくて読み手の中への深度のこと。 レビューなどには「十七八より」(2015)の人間関係を押さえておいた方がよい,とある。読んだはずだけど記憶にない。本作を読んで漠然と「眼科医院の2階のおばさんの書庫」は思い出したのだが,どうにも景子とゆき江の物語の核心をつかめないまま読み終えてしまった。
仙台の地底の森ミュージアムや雷神山古墳など,今作にも魅力的なplacesが登場する。地底の森ミュージアムはもう随分と前に一度行ったことがある。また行きたいなあ,というのと,作家である景子のこんな独白が心に響いた。ただ,それだけかな。「何かについて書き残すということは,遅かれ早かれ自分の間違いを思い知るということなのだから。」(p.66)
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