2025-07-22

読んだ本,「二十四五」(乗代雄介)・「平家物語の合戦」(佐伯真一)

 積読を片っ端から読み進める一方で,面白そうな新刊や読書サイトのお勧めをつい図書館に予約してしまう。その結果,時間はたっぷりあるのに集中力が続かない散漫な読書をしてしまっている。なんとかしなきゃと思いつつ,とりあえず読み終えた本は記録しておかないと。
 乗代雄介「二十四五」(講談社 2025)はあっという間に読み終える分量で,そして読み終えて物足りなさを感じる物語だった。その物足りなさは分量ではなくて読み手の中への深度のこと。 レビューなどには「十七八より」(2015)の人間関係を押さえておいた方がよい,とある。読んだはずだけど記憶にない。本作を読んで漠然と「眼科医院の2階のおばさんの書庫」は思い出したのだが,どうにも景子とゆき江の物語の核心をつかめないまま読み終えてしまった。

 仙台の地底の森ミュージアムや雷神山古墳など,今作にも魅力的なplacesが登場する。地底の森ミュージアムはもう随分と前に一度行ったことがある。また行きたいなあ,というのと,作家である景子のこんな独白が心に響いた。ただ,それだけかな。「何かについて書き残すということは,遅かれ早かれ自分の間違いを思い知るということなのだから。」(p.66)

 「平家物語の合戦 戦争はどう文学になるのか」(佐伯真一  吉川弘文館 2025)はとても読み易いが深い内容の1冊。平家物語全体の流れに沿って,物語の背景と史実を比較しながら「戦争を描く」こと,「文学とは何か」を読者に問いかけてくる。返却期限が迫ってしまってほとんど飛ばし読みだったので,近いうちに購入して再読するつもり。

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