19世紀半ばの英国,産業革命後の物質至上主義に異議を唱えた前衛芸術家たちの信念とは,芸術は「唯,美しくあるために存在すべき」だというもの。展示されているのは絵画,版画,家具,工芸,宝飾品などなど。相互の関係や当時の社会・風俗との関わりといった横への広がりや,社会に登場した経緯から世紀末藝術へと収斂していく時間軸を追った構成など,exciting!な展覧会でした。
絵画はロセッティやバーン・ジョーンズなどのラファエル前派の作家からビアズリーなどの世紀末芸術の作家が並んでいて,アルバート・ムーアやフレデリック・レイトンなどあまり聞き慣れない作家の名前もあります。ムーアの「真夏」は実物を前にすると,その着衣の橙色のあまりの美しさにぽかんと口が開いてしまう。
面白かったのがバーン・ジョーンズの鳥のブローチ。あれ,こういうののデザインもしてたんだという驚きと,小粒のトルコ石と珊瑚の繊細で上品な組み合わせにノックアウト状態です。よし,いつの日かまたロンドンのアンティークフェアに行けたら,こういう感じのブローチを探そう!と心に決める。
他に強く印象に残ったのは,ロセッティらが愛した染付(V&Aミュージアムから)。ホイッスラーのエッチング「アムステルダムのバルコニー」。冬枯れの薔薇の花は美術館の庭園にて。
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