2014-02-22

2014年2月,東京六本木,ラファエル前派展

 六本木の森アーツセンターギャラリーで「テート美術館の至宝 ラファエル前派展」が開催されています。2012年にロンドンのTate Museumで見てきたPre-Raphaelites:Victorian Avant-Gardeの巡回展ですが,Tate所蔵の作品のみによるダイジェスト版です。コンパクトにラファエル前派の全容と魅力を楽しめる展覧会です。
(特別鑑賞会に際して許可を得て撮影)
  展示の章立てや分類も異なっていて,例えばロセッティの「見よ,我は主のはしためなり(受胎告知)」はTate展では「5.Salvation(救世)」に展示されていましたが,日本展では「救世」という章はなく,「2.宗教」の章に展示されています。なるほど,こうすれば日本では理解しやすいかも,という感じで全体が再構成されています。

 今回楽しみにしていたのが,ミレイの「オフィーリア」との再会。何度見てもこの美しい悲劇の情景は変わらずそこにあるのですが,見ている私は当然年をとっていくわけで。この絵に関する知識も少しずつ増えて,モデルとなったエリザベス・シダルへ思いを馳せます。

 のちにロセッティの妻となった彼女は自身でも絵筆をとっていて,今回は水彩画が2点展示されています。先入観もあるせいか,暗い画面を覆う線がどこか神経質なものに見えてきます。アヘンの過剰摂取で自殺同然に亡くなったという彼女の死を想ってロセッティが後年描いたのが,「美」の章に展示されている「ベアタ・ベアトリクス」(1864-70頃)。死の使いの鳩がくわえたケシの花が哀しい。

 会場には作家たちとモデルの女性たちとの人間関係を読み解く男女相関図(!)や解説パネルも用意されていて,ラファエル前派を構成した人間ドラマ(かなりドロドロ)も楽しめます。

 ラファエル前派に関する著書は数多くありますが,「ラファエル前派 美しき〈宿命の女〉たち」(岡田隆彦著,美術公論社 1984)はその全容と日本での受容までを網羅していてとても参考になる一冊。漱石の「薤露行」の分析は,そうだったのか!の連続でした。

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