5月の連休を利用して,北関東を廻る短い旅をしてきました。忙しさを口実にしていたら,忘却のスピードが加速してしまいそう。まずは最初に向かったさいたま市の大宮盆栽美術館から。
盆栽は前から興味があって(といっても苔玉とか所謂ミニ盆栽などの小さいもの),園芸店で求めたものをしばらく楽しんだりしたことがあるのだけれど,たいてい最後は哀しい運命をたどってしまい(泣),いつか時間ができたら盆栽教室に通ってみたいものです。
大宮盆栽美術館は開館当初から是非一度行ってみたいと思っていた美術館。ちょうど連休に大宮盆栽村で盆栽まつりが開催されるというので,楽しみに出掛けてきました。
2010年に開館したばかりの趣のある建物です。盆器,水石,絵画,歴史資料などを展示する導入部を経て,ギャラリーには盆栽が5点展示されています。その見事な姿はもちろんのこと,ガラスと照明によるモダンな展示空間の静謐な美しさには思わず息を呑みます。
展示室の最後は真・行・草の三つの形式の床の間です。日本の伝統家屋の中で盆栽の美がいかにその魅力を発揮してきたかがよくわかります。書画との調和や床の間という空間におけるバランスなど,生命力が漲るその美しさには圧倒されます。
そこではた,と考えるに,美術館という空間で「生きているもの」と対峙するのは稀有な体験ではないだろうか,ということ。写真を見るときに,生々しい生命力を感じることはあるけれど,盆栽は「生命そのもの」が展示されているわけです。かといって植物園や水族館で展示を見るのとは違い,「美術作品」を見ているのだ,という意識が大前提としてあるのですから,ここはかなりexcitingな美的体験の場所と言えそう。いやあ,楽しかった!
美術館のすぐ近くに広がる大宮盆栽村は,かつて東京文京区の団子坂付近に多く住んでいた盆栽職人が,関東大震災後に盆栽育成に適した土壌を求めて移り住み,彼らの自治共同体として生まれた村なのだそう。
NHKの「趣味の園芸」でおなじみの清香園はさすがにお洒落な印象。職人さんというより,スタッフのみなさんが若くてお洒落。表参道で盆栽教室をやっているそうで,詳しいパンフレットをいただいて帰る。盆栽祭りは大変な人出。外国からの観光客もたくさんいて,「盆栽の聖地」はにぎやかでした。ミニ盆栽を3つ買ってきました。今のところ(!)元気です。清香園の入口と盆栽まつりの様子。まぶしい5月の風。
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