パナソニック汐留ミュージアムのイングリッシュ・ガーデン展に駆け込みで間に合いました。とにかくびっくりしたのは,会場入り口のキュー王立植物園The Royal Botanic Gardens, Kewの見取り図。一体,この広大な植物園をすべて見て回るのにはどのくらい時間がかかるのだろう。
会場の展示のメインは美しい植物画ですが,製作者の名前で展示してあるので,「植物の絵」を見るという意識よりも,「植物を描いた作品」を見るという意識に傾きます。18世紀,植物を記録としてだけでなく芸術として描いた作家たち。
そして,なぜか会場で私の頭の中に去来していたのは,中平卓馬の写真論「なぜ,植物図鑑か」でした。中平卓馬がカラー写真を撮っていこう,と宣言した短いけれども,深く難解な写真論を,私は文字を追うのが精いっぱいで到底理解などできていない。だからその一節をここに引用することはまったくの見当ちがいで恥ずかしいことに違いないとは思うのですが,許してもらえれば。
「動物はあまりになまぐさい,鉱物ははじめから彼岸の堅牢さを誇っている。その中間にあるもの,それが植物である。葉脈,樹液,etc.それらはまだわれわれの肉体に類似したものを残している。つまりそれは有機体なのだ。中間にいて,ふとしたはずみで,私の中へのめり込んでくるもの,それが植物だ。植物にはまだある種のあいまいさが残されている。この植物がもつあいまいさを捉え,ぎりぎりのところで植物と私との境界を明確に仕切ること。それが私が密かに構想する植物図鑑である。」(「なぜ、植物図鑑か」中平卓馬著 ちくま学芸文庫p.36より引用)
帰路,最寄駅の構内に華やかなコーナーができていて,珍しい種類のチューリップに思わず吸い寄せられました。PENを持ち歩いていなくて,コンデジで撮影。
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