戦時下に体制に抵抗して自由に生きるマイケル・K。「自由に」の真の意味を知っているか,と作家から問われているような読書体験だ。
「何もかも遠ざかっていった。朝目が覚めると,目の前にあるのは,一個の巨大な塊となった一日だけ。一日が時間の区切りだ。自分は岩に穴を穿つ白蟻だ。ただ生きていく,することはそれだけのように思えた。じっと静かに座っていた。鳥が飛んできて肩に止まったとしても驚かなかっただろう」(p.106)
戦時下に体制に抵抗して自由に生きるマイケル・K。「自由に」の真の意味を知っているか,と作家から問われているような読書体験だ。
「何もかも遠ざかっていった。朝目が覚めると,目の前にあるのは,一個の巨大な塊となった一日だけ。一日が時間の区切りだ。自分は岩に穴を穿つ白蟻だ。ただ生きていく,することはそれだけのように思えた。じっと静かに座っていた。鳥が飛んできて肩に止まったとしても驚かなかっただろう」(p.106)
5月の連休に大阪と京都へ2泊3日の短い旅をしてきました。今頃になってなんだけど,忘備のために短い旅の記録を残しておこう。久しぶりに自由な連休とあって,移動の交通も観光地もとにかくすごい人出(自分もその一人なわけで)。楽しかったけど,人混みに少々疲れた旅でもありました。
何でわざわざ連休にかというと,目的のイベントが3つありまして。四天王寺の古本まつり(大阪),大江能楽堂の定期能,みやこめっせの古書市(京都)というわけ。それに加えて,中之島美術館と京セラ美術館も行ってみたい!となったわけ。詰め込み過ぎですな。。
で,まずは四天王寺に向かう前に大阪市立美術館で「華風到来 チャイニーズアートセレクション」というすばらしい展覧会を堪能。チラシやポスターのイメージになっている「上海娘」(島成園)がなんとも魅力的で,これは面白そう、と思って会場に入ったら度肝を抜かれるような展示の数々!
魅力的な短編ばかりであっという間に読み終える。ただ,なぜか連休をはさんで急ぎの仕事が立て込んでしまい,ゆっくり考えたり言葉にするのが難しくもどかしい。未読だった「禿鷹」の最後の一節を引用して忘備としよう。
「さっと舞い上がったかと思うと,はずみをつけるために一度うしろへ飛びすさり,つづいて槍のようにくちばしを突きたて,私の喉深くとびこんできた。私は仰向けに倒れた。のどの奥から,どっと血が噴き出した。みるみるあたりは血にあふれ,その中でもがく間もなく禿鷹が溺れていく。それをみて私はほっと安堵した。」(p.19)