講演では課題図書になっていたルソーの「孤独な散歩者の夢想」を詳しく取り上げていたけれど,本書ではほとんど記述なし。なぜだろう? 社会から締め出された親父のグチ,なんて言ってたから,もっと有益(?)な図書の紹介に努めたのか,などど勘繰りたくなってくる。
第2章「散歩する文学者たち」も面白いし,都心や郊外の実際の飲み歩き散歩コースの詳細な記録も思わず辿ってみたくなる(こんなに呑めませんが。)。最初のページのこんな一節に快哉。「移動の自由はたとえ国家や社会,支配者からそれを制限されたとしても,決して譲り渡してはならない権利である。私たちは飢餓や暴力の恐怖に晒されたら,今いる場所から逃げ出す権利を持っている。差別やいじめに遭ったら,その不愉快な境遇から抜け出す自由を持っている。散歩はその権利と自由を躊躇なく行使するための訓練となる。」(p.3「プロローグ」より)
0 件のコメント:
コメントを投稿