2025-10-24

2025年10月,埼玉北浦和,Nerhol展

  10月に入っていろいろ活動中です。記録を残してなかったいくつかを忘備録として。久しぶりの埼玉県立近代美術館で13日まで開催されていたNerhol(ネルホル)の「種蒔きと烏 Misreading Righteousness」展を見ました。昨年,千葉市美術館の個展が話題になっていたときに初めてその名を知って興味を持ったアーティスト。作品を見てみたいというのと,謎かけのような展覧会のタイトルが気になったのでした。

 会場の最後にタイトルそのものの作品が展示されています。10,000枚の白と黒の手漉き和紙のポストカードが床に積み上げられていて,鑑賞者はそれを1枚,持ち帰ることができます。そしてその謎解きは作品リストの解説を読めばわかる仕組み。カードにはポピーの種が一粒漉き込まれているとのこと。

 このタイトルについて展覧会チラシには「蒔かれた種がその場で育つことと,掘り返されて運ばれてどこか別の地で芽吹くこと」という「両義的な世界のあり様をその複雑さのまま掬い上げようとする制作の営為」とあります。

 なるほど,そう言われるとわかりやすい。なにしろ彼らの作品も言葉も,鑑賞者の挑戦を受けて立とう,みたいな壁を感じてしまう強度があります。作品リストの最後の彼らの言葉をしめくくるのはこんな一節。「烏も種を食べた後,お腹の中の種のことは考えない。見えないことは考えない事と同じように。」

 私は黒のポストカードを1枚もらって,庭先のプランターにそのまま埋めることにしました。誰かに送った方がよかったかな。「誤読」の主体は一体誰なんだ?

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