2025-11-15

2025年11月,東京東麻布ほか,潮田登久子写真展ほか

 あちこち出かけて記録が追い付かない。東麻布PGIで潮田登久子の写真展を見る。タイトルは「玉里文庫」。「鹿児島大学附属図書館貴重書庫の景色」という副タイトルが示すように,玉里島津家文書を収蔵する鹿児島大学図書館の蔵書を撮影した作品群である。玉里島津家は島津本家の分家にあたる。本家の島津家文書はかつて勤務した職場が関わっているので,私的に思い入れが強い。

 潮田登久子の本の景色シリーズは横浜市民ギャラリーでまとめて見たことがあるので,あくまで「本の(ある)景色」の写真は想定内だけれど,島津家文書のような貴重書となると話は違うというか,「学林玉篇大全」の写真のような古書の扱いには戸惑いしか覚えない。写真家が美しいと思う景色と,貴重書庫の機能の保全とは別の次元のような気がする。もやもやした気分でギャラリーを後にした。


 別日,早稲田大学キャンパスへ出かける。毎秋,ベルリンから帰国する多和田葉子と高瀬アキ(ピアノ)のパフォーマンス「君死にたまふことなかれ」を聞きに行く。毎年,行きたいと思いながら機会を逃していたのでうれしい。

 多和田葉子のテキスト朗読に合わせて高瀬アキのピアノ演奏,赤い日ル女の声のパフォーマンス。1時間ほどの上演時間で与謝野晶子が語られる。面白かったけれども,多和田葉子と与謝野晶子はあまり親和性がないような。「群像」で連載が始まった「不在事件」はこの先が気になるいつもの多和田ワールド。

 開演時間の前に早稲田キャンパスで充実の時間を過ごす。會津八一記念博物館では「リトグラフで辿るアトリエMMGの33年」・「特集展示 奥村秀雄氏書写『東大寺献物帳』」・「富岡重憲コレクション 書と文具」という3つの展覧会が同時開催。こんなに充実した展示が無料でいいんですか?と感動しながら,国際文学館へ。「黒人女性の文学とジャズ展」はまだ準備中だった(13日から開催)。ここは言わずと知れた(?)村上春樹ライブラリーなわけで,とにかくおしゃれ。ハルキ文学のシンパではないので,あくまでそのおしゃれな雰囲気を楽しむ。
 広尾の山種美術館では「日本画聖地巡礼2025」という面白い展覧会を見る。平日午前中なのに,人がいっぱい(自分もその一人なわけ)。みんな日本画が好きなのね,と思いながら楽しく鑑賞。聖地巡礼というわけで現場写真や当時の作家の言葉が添えられていて興味深い。日本だけでなく,中国,イギリス,シルクロードなども。吉岡堅二の「龍門幻想」に感動。そして何より山口晃の「東京図1・0・4輪之段」が最高! 大河ドラマ「いだてん」のオープニングに使われていたとのことで,思わずじっくり覗き込む。ほんと,天才だな。

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