2026-01-09

2026年1月,東京恵比寿,「作家の現在 これまでとこれから」

 ガラスに新春の街が写り込む。恵比寿にでかけて東京都写真美術館開館30周年記念展の「作家の現在 これまでとこれから State of the Artist: So Far and From Now On」展を見に行く。タイトルの英訳はそのまんまじゃん,という感じで,一ひねりあってもよかったのでは,などと生意気なことを考える。

 「作家」は石内都,志賀理恵子,金村修,藤岡亜弥,川田喜久治という錚々たる5人。フライヤーの金村修の写真が1993年撮影のものなので,とにかく彼の「現在」「これから」が知りたいとはやる気持ちで会場を進む。

 そして金村修の「現在」を目の当たりにしたとき,それは「衝撃」としか言いようがなかったのだ。作家のコーナーの最初は『System Crash for Hi-Fi』というタイトルの20枚組で,暗室のアクシデントの痕跡が写真を「破壊」している。近年取り組んでいるというコラージュやドローイングの,余白を埋め尽くして反復する細密な線は,何か狂気性を想起させるものに見えてしまう。

 解説を読むと,これらは「彼の写真作品に通底する衝動-すなわち,都市の構造とエネルギーを視覚化しようという欲望を思わせる。そこには,作家としての揺るぎない視点と,メディウムを超えて世界を構築する力がある。」とのこと。そうか,私が「これまで」見ていた写真作品にこそ彼の本質があり,「現在」の姿は決して「衝撃的」などではなく,必然の「これまでの未来」の姿なのか。

 とにかくも私の(やわな)マインドが衝撃を受けたことには変わりなく,ちょっとフラフラになりながら会場を進む。川田喜久治のコーナーでボマルツォの怪物公園の1枚を見る。悪趣味でありながらも,フラフラのマインドには「見たことがある」風景の写真として,寧ろほっと安心して眺めてしまう。

 写真美術館では,日本の新進作家シリーズvol.22「遠い窓へ」展も見る。寺田健人の「想像上の妻と娘にケーキを買って帰る」シリーズがおもしろかった。

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