会期終了直前の金曜夜,出光美術館で「躍動と回帰-桃山の美術」展を見てきました。展示室には仕事帰りの人たちがたくさん。仕事を終えてゆっくりと日本の美を堪能するのにぴったりの秋の宵です。ビルの1階からエレベーターで運ばれて展示室の入口へ。
「豪奢で躍動的な」(展覧会チラシより)桃山時代の美術を,日本古来の美術造形とのつながりに注目しながら検証するという趣旨の展示です。美が「革新的」であるとはどういう意味なのか,ということを観る者に問いかける仕掛けがとても刺激的。
6つの章立てには「『うしろ向き』の創造-歪み・割れ・平らかさ」,「瞬間と永遠の発見」など,なるほど!というタイトルがついています。長谷川等伯の水墨画「竹鶴図屏風」の竹の描写を「平らかさ」というキーワードで見る面白さにはちょっと興奮。
南宋時代の禾目天目の完璧な姿を導入に,織部や朝鮮唐津の茶碗や水差を見ると,「躍動」という言葉がそのまま具現化されているよう。そして最後の南蛮蒔絵の特集コーナーの前では,日本古来の伝統美が変容して海を渡り,そして今また時を超えて目の前にあるという幸せに思わず時を忘れてしまう。
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