この夏以来,なんとなく塞ぎがちだった気分がだんだん外向きになってきてる感じ。お天気のよい休日にまずは渋谷bunkamuraでベトナム映画「第三夫人と髪飾り」(アッシュ・メイフェア監督)を見てきました。19世紀の北ベトナム・チャンアンが舞台です。あまりに哀しい女たちのストーリーなのだけれど,湿潤なまぶしさを湛えた緑,赤いランタンの灯,女たちのアオザイの色彩。トラン・アン・ユンが美術監修を手掛ける美しい映像世界を堪能しました。またベトナムに行きたい。
哀しい余韻を引きずりながらも,次も東洋の美を堪能しようと向かった先は,リニューアル特別展「桃源郷展」が開催されている大倉集古館。新収品の呉春の「武陵桃源図屏風」が展示の中心で,師の蕪村へのオマージュがわかりやすく解説されていて,一遍のドラマを楽しむよう。
中国美術に表された桃のモチーフの逸品も楽しい。東博や静嘉堂文庫からも出陳されていました。「名品展」には国宝の普賢菩薩騎象像や,前庭には朝鮮文人像や五重塔なども。
ところで,大倉集古館を初めて訪れたのは一体いつのことだったか,もはや記憶も曖昧なくらい前のことです。当時,建物内部はなんだか薄暗いし,展示ケースも年期が入ってちょっと埃っぽいというイメージだったのだけれど,今回のリニューアルで大変身。建物の外観には手を加えていないとのこと。伝統を継承しつつ生まれ変わった美術館のこれからの企画が楽しみ。
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