まえがき(三浦順子)より:「人は幻想小説を読むことで,異界を垣間見るというひそやかな愉しみを得る。でもこの「チベット幻想奇譚」のなかで描かれる異界の多くは,現実世界から乖離したものでなく,チベット文化の地層の奥深いところに,日常生活の片隅にごくあたりまえに存在するものであり,日本人にとってもどこか懐かしく,なじみ深ささえ感じられるに違いない。」
面白かった。しかし,日本中を震撼させた事件の直後に読んだために,「異界」が日常と隣り合わせであることに恐怖を覚えるばかりで,ページを繰る手がどんどん重くなっていったのは事実だ。そういう意味で心にささったのは「人殺し」(ツェリン・ノルプ),「屍鬼物語・銃」(ペマ・ツェテン),「ごみ」(ツェワン・ナムジャ)など。
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