「本のなかの旅」(湯川豊著 中公文庫 2016)読了。著者の湯川豊氏は須賀敦子をよく読んでいた頃,「須賀敦子を読む」の著者ということで読んでみたいと思いつつ,忘却の彼方になっていた。思いがけず古書店でこの文庫本を目にして手に入れた次第。目次を見ただけで心躍る1冊。
宮本常一,内田百閒,ブルース・チャトインと始まって,ル・クレジオ,金子光晴など18名の名前がずらりと並ぶ目次を見ただけで興奮。扱われている本はどれも手に入りやすいものばかりで,旅をしたいという気持ちと,この本を読みたいという気持ちが両方湧き上がる。
ル・クレジオの章にはこんな一節がある。「あらゆる生命は,環をなして結ばれている。そして生命は死んで大地に還り,別の生命としてまた甦る。生と死は,そのように果てしなく循環している。/そういう先住民の世界観を発見し,その意味をさらに深く知るために,フランスの俊英作家はメキシコに家を構えた。一年の半分をそこで過ごし,メキシコを中心に中米を旅しつづけた。ル・クレジオの研究エッセイは,旅から生まれたものであり,旅の到達点でもある。」(p.92)
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