11月連休は楽しみにしていたコンサートと映画を楽しむ。まずは海老名市文化会館でマルティン・ガルシア・ガルシアのピアノリサイタル。2021年のショパンコンクールで三位入賞,NHKの番組にも出演して大人気のピアニストだけあって,チケットは早々に完売だったとか。何度も来日してるけど,機会を逃していたので今回は期待度満点。
海老名駅で降りるのは初めて。海老名市文化会館はなかなか年季が入ったホールで,広々とした前庭に中垣克久作のブロンズ像。タイトルは「武満徹『雨の樹 素描Ⅱ』に寄す」(2011)。素描Ⅱは確かメシアンの追憶に捧げられていたよな,とこの夏のメシアンの興奮の記憶が蘇る。
ガルシア・ガルシアは前半のショパンが素晴らしく,アンコールも5曲も演奏して大喝采。グールドばりのハミングや,パワフルな演奏は陽気なキャラクター全開といった感じ。あくまで私の好みで言えば,後半のリストよりショパンだったな。
連休最終日は人込み覚悟で渋谷へ。ル・シネマでミゲル・ゴメスの「グランドツァー」を観る。アジアの迷宮を逃げる男と追う女の摩訶不思議な境地〈グランドツァー〉は,「西洋人には東洋を理解することは到底できないのだ」と主人公エドワードに嘯く老人の台詞が全てを統括(?)している。東洋人が字幕を追いながらこの映画を見るのは何だか本末転倒のような気がしてきた。ベトナム人女性ゴック役はトラン・アン・ユン監督の娘のラン=ケー・トラン。その美しさと言ったら!