GWの一日,国立能楽堂へ出かけて櫻間右陣の会を拝見。番組は仕舞が「遊行桜」,「熊坂」,狂言が万作・萬斎親子の「蝸牛」,休憩をはさんで仕舞「笠之段」,そして能「邯鄲」です。
ここ数年,年に2・3回くらいのペースで観能をしている感じ。少しずつ楽しみ方もわかってきた(つもりの)今日この頃,「熊坂」はおっ,私の好きな舞が見れる!と一人で盛り上がる。長刀を振り回す熊坂長範の動きが好きなんだなあ。(盗賊なんだけど。)
「邯鄲」は中国の地名で,あらすじは「邯鄲の夢(枕とも)」の故事を舞台化したものです。青年盧生は邯鄲の宿で枕を借りてひと眠りする。やがて勅使が表れて楚王に迎えられると,栄華を極めた五十年を過ごすのだが,しかしそれは一炊の夢の間の出来事だった,というお話。
舞台の「一畳台」と「引立大宮」の作り物が,旅宿から宮殿へ,そしてまた旅宿へと観る者を時空を超えた世界へ誘ってくれる。帝王としての盧生が激しく舞う場面が圧巻。そして,夢の中の登場人物が消え去ると,シテは一畳台へ「飛び込む」のですが,その動きがまるで軽業師の身のこなしのごとく!
「百年の歓楽も,命終われば夢ぞかし。五十年の栄花こそ,身のためにはこれまでなり。(略)げに何事も一炊の夢,」…観る者である私は,栄華の儚さを知ると同時に,能舞台という異空間は時空を超え,彼岸と此岸を行き来し,そして夢と現をも軽々と飛び越えてしまうのだ,と感じ入ることしばしでした。
帰宅して庭の鈴蘭を摘む。ロンドンのアンティークマーケットで求めた一輪挿し。
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