2018-09-01

2018年8月,奈良,奈良国立博物館「糸のみほとけ」展


  夏の一日,京都から近鉄奈良線で奈良へ足を延ばしてきました。目当ては奈良国立博物館で8月26日まで開催されていた「糸のみほとけ」展です。当麻寺の「綴織當麻曼荼羅」の修理完成記念展ということ。そもそも,「綴織當麻曼荼羅」の実物を見ることができるのか?というか,本当にこの世に存在するのか?みたいな驚きがあって,どこか異界へ出かけるような不思議な心持で電車に揺られたのでした。
 
 奈良国立博物館は初めて訪れました。奈良へは中学の修学旅行以来(!)で,断片的な記憶はあるものの,ほとんど未踏の地という感じ。近鉄奈良駅からまっすぐに博物館を目指し,建物の前の古代蓮の美しさにうっとり。浄土感(?)が盛り上がる。
 
 展覧会は圧巻としか言いようがない展示。どことは言わないけれど,来館者数至上主義みたいな博物館の展示とは真逆のシンプルで落ち着いた展示空間で浄土への旅を楽しみました。「中宮寺天寿国繍帳」の前でも,ほんとに目の前にあることが信じられない感覚に震えます。
 
 「綴織當麻曼荼羅」はあまりの大きさと,脳裏に浮かんだ中将姫伝説にやられてしまって,しばらく足がすくんで動けない。折口信夫「死者の書」は何度挑んでも,跳ね返されてしまうのだけれど,今度こそその世界に近づけそうな予感がしてきました。10月には矢来能楽堂で「當麻」の上演もあるみたい。ぜひ出かけたい。
 
 奈良国立博物館では「なら仏像館」もゆっくり鑑賞。帰路には興福寺国宝館に立ち寄って阿修羅像を堪能。
 

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