横浜美術館で「モネ それからの100年」展を見てきました。評判の展覧会です。会場は大混雑。ただ,「モネ」を見に来た人が多いのか,「それからの100年」に含まれる作品の前ではあからさまに戸惑う感じの人がいて,ちょっと残念だったな。中西夏之の前で「何なの,これ」と大声をあげてた若いカップルはレッドカード(?)だな。
会期中に行われた林道郎氏の講演記録が公式HPで読めるので,とても参考になりました。戦中から戦後へかけてのフランスでのモネの評価や,戦後アメリカの評論家による再評価についてなど,そうだったのか!と目から鱗でした。「抽象表現主義との関係の中で、大画面やオールオーバー構造などが評価された」とあり,マーク・ロスコやサム・フランシスの展示がますます興味深いものになりました。
そして横浜美術館らしいというか,スティーグリッツやスタイケンの写真もあり,後半では鈴木理策あり,とまさに「わたしがみつける新しいモネ」を体験できる展覧会で楽しかった!
ところで会期中にみなとみらいホールで行われた『「モネ それからの100年」によせて』という副題のついた「音楽と舞踊の小品集 水・空気・光」公演にもでかけました。横浜ダンス・ダンス・ダンス2018との共催で,第2部の舞踊プログラムの首藤康之と中村恩がお目当て。
首藤康之が踊ったのはスクリャービンのピアノエチュードと,メシアンの四重奏曲。いやあ,よかった!途中,「見ざる聞かざる言わざる」みたいな手ぶりの振り付けがあって,踊り手は五感を超えた世界にいるのだろうか,そこはどんな色彩に満ちているのだろうか,と不思議に思う。
そしてコダーイのピアノ小品にのせてマーサ・グラハム舞踊団の折原美樹がLAMENTATIONを踊りました。これを見ることができたのはすごいことらしい,とは分かったものの,今一つピンと来なかったのですが,三浦雅士の「バレエの現代」(文芸春秋 1995)を紐解いてびっくり仰天。
第2章「グレアム」の中に,「グレアムは東洋的な身振りを愛したし,また日本人を愛した。アキコ・カンダ以降,タカコ・アサカワからミキ・オリハラにいたるまで,その舞踊団に日本人は少なくない」(p.78)という記述があるのです!ミキ・オリハラを眼前に(席は前から2列目だった)見ることができたわけ。後からじわじわ感動です。
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