今年のドゥマゴ文学賞を受賞した「古本屋散策」(小田光雄著 論創社)を図書館で借りてきた。600頁を超える大著で,読み通すのは大変。「日本古書通信」に連載された200編が掲載されているので,目次を見ながら惹かれるものだけをつまみ読み…のはずが,読み始めるとなかなか止まらない。
「古書」への愛が,近代出版史や文学史へと結びついて,なるほど,そうなのか!という驚きの連続。そしてやはり自分の興味と一致するパートでは,ほとんどくぎ付けになる。忘備録として。51「写真集『アッジェのパリ』」,115「バートルビーとB・トレイヴン」,139「江藤淳『漱石とアーサー王伝説』と『漾虚集』」,131「ミシェル・レリス『黒人アフリカの美術』」などなど。
「バートルビー」はエンリーケ・ビラ=マスタの「バートルビーと仲間たち」(木村栄一訳 新潮社)が積読になっているのだが,メルヴィルの「代書人バートルビー」が下敷きになっていると初めて知った。酒本雅之先生訳の「代書人バートルビー」が国書刊行会の「バベルの図書館」に入っているのだとか!すぐにネットで注文してもよいのだけれど,私の次の「古本屋散策」の楽しみにとっておくことにしよう。
ところでこの本の装丁の木彫像について,著者は「東南アジアの女神像」としてその出自を知りたい,と本文中で書いている。装束の文様はイスラム系だけどこれは「女神」なんだろうか?
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