2021-04-17

2021年4月,東京新宿,モンドリアン展

  久しぶりに美術館へ。損保ジャパン東郷青児美術館がSOMPO美術館へとリニューアルしてから初めて行ってみました。「モンドリアン展」が開催中です。日時指定制だし,入口ロビーには何重もの行列のためのロープが張られているけれど,平日の昼間の観客は少なめ。ゆっくりと見ることができました。

 モンドリアンと言えば晩年の「水平垂直線と原色平面のコンポジション」と短絡的に結びつきがちだけど,そこへ辿り着くまでの変遷をたどる構成の展覧会。副タイトルの「純粋な絵画をもとめて」「自由か束縛か」に惹かれます。

 アムステルダムを訪れたとき,市立近代美術館の常設展示でモンドリアンをたくさん見たのを思い出します。なにしろあの旅では怒涛の美術館めぐりをして,デン・ハーグ美術館まで足を延ばそうか迷ったけれども,モンドリアンはもうお腹いっぱいだな,と結局行かなかったのでした。今回はそのデン・ハーグ所蔵作品が中心。

 初期の風景画から,象徴主義や神智学に傾倒した作品などを経てコンポジションへとその多岐にわたる画業が楽しい。年表を見ると,日本では23年ぶりと書いてあります。家に帰って探してみると,1998年にbunkamuraで開催されたモンドリアン展の図録があった! そういえば渋谷で見たな,と記憶が蘇ってきました。私がモンドリアンでいちばん好きな「赤い風車」もこの時に見たのだった。

 今回は出品されていませんでしたが,この青い空に浮かぶ赤い風車のイメージは鮮烈で,デン・ハーグ美術館に行こうか迷ったのはこの作品をもう一度見たかったから。久しぶりに図録を見返すと,モンドリアンはこの作品について「[空の]青色は,対立する『色彩』を要求します。…自分の経験で言うと,青を背景にして風車を赤く描くことで満足な結果が得られました」と語ったとあります。なるほど。23年を経て納得(!)。

 書棚にはABRAMS社の「MONDRIAN」(Hans L.C. Jaffe)も。もしかしたらアムステルダムの古書市で買ったのだったか,記憶が曖昧です。「ドンブルグの教会塔(1911)」も色彩が魅力的。


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