2013-11-10

2013年10月,アムステルダム(2),レンブラントの家/エルミタージュ・アムステルダム/FOAM/新教会/市立近代美術館

 アムステルダム市内の美術館めぐりはレンブラントの家Museum Het Rembrandthuisから始めます。レンブラントが1639年(33歳)から,20年後に破産して人に売り渡すまで住んでいた場所ということ。内部は復元なので,舞台装置の中にいるような感覚がなきにしもあらず。むしろ,棟続きの新館で開催されていたエッチング展の方が迫力があって面白かった。ショップでは正確に復元した銅版を用いて新たに刷ったエッチングを40ユーロくらいで販売しています。まあ,結局は複製なのだから印刷でよいか,と気に入った作品のカードを何枚か求めて次へ向かうことにします。建物内部のデルフトタイルによる装飾。
 次は,ワーテルロー広場を抜けてエルミタージュ美術館アムステルダムHermitage Amsterdamへ。美術館は2009年オープンの新しいものですが,17世紀建築の元養護院だという宏大な建物がとても美しい。特別展は「ゴーギャン・ボナール・ドニ」展が開催中。ロシアのフランス文化への憧憬がよくわかる充実の展示。副タイトル(英語表示)はA Russian Taste for French Artとなっています。ルドンやファンタン=ラトゥールの小品も印象に残ります。館内には養護院の施設の復元展示もあり,17世紀オランダの台所。
  マヘレの跳ね橋を渡って,次に向かったのはカイゼル運河に面した写真美術館FOAM。とても楽しみにしていた美術館の一つ。タイミング悪く全面改装中で,建物外観は足場の鉄骨で囲まれてました。それなりにフォトジェニックではある,と入口で1枚。
  特集展示はLee FriedlanderのAmerica by Car。60・70年代の既視感のあるイメージばかりではなく,近年撮影の新しいイメージも多く,入口付近の手狭な印象とは異なる広い空間でスピード感溢れる展示です。かっこいいなあ。ほかにオランダの雑誌写真の展示Framed in Print:40 years Dutch Magazine Photographyも。この国はなんて外国の文化への許容度が大きいのだろう,とおもちゃ箱をひっくり返したような展示を見て思う。
 
 さて,カフェで固い固いパンのサンドイッチと格闘して次に向かったのはダム広場Damの新教会Nieuwekerk。4月の現国王即位式のニュース映像が記憶に新しいけれど,普段はイベントや展示会場として使われているとのこと。2014年2月まで「明」展が開催中です。大英博物館しかり,ヨーロッパでアジア文物の展示を見るのは大好き。明代の青花はどこで見てもいいわあ,とうっとりする。南京博物館の所蔵品が中心のようです。後期ゴシック様式の壮麗な教会にこんなスクリーンがどーんと2枚。
 
  だいぶ日も傾いてきたところで,ミュージアム広場Museumpleinの市立近代美術館Stedelijk Museum Amsterdamへ。ここにはDonald Evansの作品が所蔵されていますが,現在は展示はありません。図書室で画集や資料を見ることはできます。事前に余裕を持ってコンタクトを取れば所蔵作品の閲覧も可能なようです。

  特別展はマレーヴィチMalevich展が開催中。ロシア・アヴァンギャルドの全容をつかめる大がかりな展覧会です。ところでこの建物は10年がかりの改装工事を終えて2012年9月に再オープンしたそう。Mels Crouwel設計の建物は「巨大な白いバスタブ」と呼ばれています。青空が広がってきて,ガラスに映り込む様子がかっこいい。
  と,朝からオランダ絵画,フランス絵画,アメリカ写真,明代文物,ロシア・アヴァンギャルドと支離滅裂もここに極まれり,といった感じで廻りましたが,一日の最後はやはりオランダで締めることに。常設展示でモンドリアンをたくさん見てもうお腹いっぱい。ショップで画集などを数冊買い込んでトラムに乗り,市街へと戻りました。

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