少し前のことです。初台の新国立劇場中劇場で中村恩恵振付の新国立劇場バレエ団の「ベートーヴェン・ソナタ」の3月18日の舞台を見ました。出演の首藤康之の名前に惹かれてチケットを購入。あっという間に完売だったらしい。バレエ団の豪華キャストが勢ぞろい,という公演だったようで,首藤のミーハーファンはかなりの少数派だったかもしれない。
その首藤と福岡雄大が「ルートヴィヒ」と「ベートーヴェン」を演じます。一人の人間の裏と表という単純な構図ではないようです。中村恩恵のインタビュー記事によれば,ベートーヴェンが日記で自分のことを「わたし」ではなく「お前」と呼び,「お前は人間であってはならない」と強い言い方をしていることに惹かれたのが着想の元らしい。
舞台は二幕構成で第1幕は白,第2幕は黒が基調の衣裳で,音楽は冒頭のモーツァルトのレクイエム以外はすべてベートーヴェンです。プログラムを購入しなかったのがいけないのか,登場人物の関係やベートーヴェンの人生についてごく常識的な知識しかなく,物語を楽しむのは難しかった。単純にベートーヴェンの音楽と,美しい身体表現を楽しんだというのが正直なところ。
そういう意味で第1幕2場の月光ソナタは本当に美しかった。首藤のデュエットの相手は中村恩恵しか考えられなったけれど,ジュリエッタを演じた米沢唯というダンサーの存在を知ることができたのは至福でした。
ところで,首藤がベートーヴェンを踊るというので,おお,イメージにぴったり!と思ったのだけれど,ハムレットのときに坊主頭だったのでちょっといやな予感がしたのが的中。伸ばしかけなのか,ストレートの短髪がベートーヴェンのイメージにはちょっと違和感あったかも。また伸ばしてほしいなあ,とミーハー度全開で帰路についたのでした。
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