2021-09-07

2021年9月,埼玉北浦和,「ボイス+パレルモ」展

  久しぶりに埼玉県立近代美術館へ「ボイス+パレルモ」展を見にでかけました。ずっと気になっていた展覧会、最終日に間に合った! 

 今年が生誕100年のボイス展というのはよくわかるとして,パレルモって誰だ?と気になります。ボイスをして「自身に最も近い表現者だった」と言わしめたというその人は,実質的な活動期間は15年に満たなかったとのこと。

 会場でとにかく驚いたのは,パレルモの線の細さ。「繊細な」という形容が合うのかどうか,ボイスの力の傍らでひっそりと壁に佇む楕円や三角形や,「布絵画」や「金属絵画」には驚きというよりも,どう接したらよいのかわからなくなってきて途方にくれてしまう。

 これが未知の作家の展覧会である「パレルモ展」なら,いろいろ言葉もついてくるかもしれないのですが,何しろ「ボイス+パレルモ」展なのです。

 ボイスはなじみのあるフェルト作品やパフォーマンスの動画展示も多く,それほど目新しい印象の展示ではありませんでした。国立国際美術館で見たIntution「直観」の木箱も。しかし,パレルモ=「自身に最も近い表現者」の作品を鏡とすることで,あの饒舌さは何かの裏返しなのかもしれない,と感じずにはいられない,そんな不思議な体験をした気がします。

 ショップを覗いてみると,図録が意外と高価で,躊躇してしまう。図録の横には若江漢字・酒井忠康共著の「ヨーゼフ・ボイスの足型」が。そうだ,あの本をじっくり読み直してみよう,と手ぶらで美術館を後にしたのでした。

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