本書の惹句には「 全知全能のアルゴリズム=マザーに支配され,生まれながらに階級で選別されて生きる人類。異端の少年と中古アンドロイドが世界を変えるSF冒険物語」とある。少年アキラはマザーを裏切るゴーレム3の力を得て新しい次元へと踏み出す。
「カタストロフマニア」にも通じる活劇だが,小説家の想像力とオペラの話法が絡み合って,とにかく舞台を見たかった,というのが読後の実感だ。年内に配信があるそうなので,それを楽しみに過ごすことにしよう。
「何も知らない人はいう。/パンドラの箱を開けるなと。/災厄が世にはびこるからと。/でも蓋は開けるためにあるんだよ。/邪悪なものなど何もないよ。/おやおや,箱の底に何かある。/キノコみたいなものがある。/ほらほら,これが希望だよ。/希望はここにしかないんだよ。」(pp.66-67)
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