2022-11-20

2022年11月,東京初台,「川内倫子 M/E」展・「連作版画の魅力」展

 東京オペラシティアートギャラリーで開催中の川内倫子展を見てきました。東京都写真美術館でまとめて見たことがあるな,と思って調べてみたら2012年のことでした(「川内倫子 照度 あめつち 影を見る」展)。え,10年も前?とびっくり。今展はこの10年の活動に焦点を当てているとのことで,作品はもちろんのこと「10年」という時間を目の当たりにしたような気がしてくるから不思議です。

 柔らかい光の中を浮遊するような感覚は変わらない。「生命」を撮ることは「自然」を撮ることへと繋がっていくのだ,ということが伝わってきます。タイトルの〈M/E〉はMotherとEarthの頭文字とのこと。「母なる大地」は「私自身」でもある,という説明になるほど,となりました。

 心惹かれるものが多いなか,「4%」連作の中のクラゲのモチーフに思わず見入ります。私たちの生命とこの不思議な生命の繋がり。こうして1枚の確かなイメージを紡ぎ出す写真家の力に羨望を抱きます。水族館で無邪気にパシャパシャとシャッターを押したイメージとはまったく異質のものだなあ,と。

 同時開催の寺田コレクション展「連作版画の魅力」展も心躍る内容の展覧会。李禹煥の版画をこんなにたくさん見れるとは! リトグラフ,ドライポイント,シルクスクリーンなどなど技法もいろいろ。「点より 線より」(8点組)は見る側にとって,油彩の大作とはまた違う親密さがあって時が経つのを忘れて見入ってしまう。

 他に中西夏之,加納光於,郭仁植などなど見ごたえたっぷり。ところで郭仁植といえば,このギャラリーで開催された単色画の展覧会で魅了された鄭相和の版画を最近手に入れました!この顛末はまた項を改めて。

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