松濤美術館で開催中の「古道具、その行き先 坂田和實の40年」展を見てきました。「新しい美の発見」と絶賛する評価の声が多い展覧会。渋谷の喧騒を抜けて住宅街の中にある重厚な建物を目指します。
天井高の高い地下1階の展示は,確かにこの「骨董商」(と言えばよいのか)の眼で選んだ「古いもの」そのものの魅力が伝わってくる空間になっていて,キャプションのない展示物と出品リストを照らし合わせながら,しばし愉悦の時間を過ごしました。
「マリ ドゴン族 祈祷用階段」は実用の梯子のミニチュアで,個人が祈祷に使うものということ。持ち主だった人の思いがつまった佇まいに,思わず掌中に収めたくなります。
2階の第二会場はがらりと雰囲気が変わります。ここに展示してあるコーヒーフィルターや雑巾などの「古いもの」は,観る人によって受け取り方がちがうだろうなと思います。私は一巡してそそくさと展示室をあとにしました。
ちょっと複雑な思いで帰宅してから「芸術新潮」の2009年4月号「パリと骨董」特集を書棚に探しました。「古道具坂田のパリ」という特集記事をざっと振り返りつつ,「世界のムラカミ,骨董を語る」という村上隆氏に取材した記事を読みました。「坂田さんの骨董はコンセプチュアルアートだから」という村上氏の談話が心のすみにひっかかっています。
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