2013-01-16

2013年1月,東京本郷,東京大学弥生講堂アネックス

  東京大学弥生キャンパス内にある,弥生講堂アネックスを見学させていただく機会がありました。河野泰治アトリエ設計,2008年竣工の建物です。(一般に公開はされていません。)

 加賀藩上屋敷跡である本郷キャンパスに隣接する弥生キャンパスは,水戸藩の中屋敷跡。農学部正門からキャンパスに入って左手,前日に降った雪が残る中,木の美しい建物が見えます。建物は「セイホクギャラリー」と「エンゼル研究棟」から構成されていて,これは本郷通り沿いに位置するセイホクギャラリーの部分の遠景。
 
  ギャラリーは一辺が約7メートルの「シェル」が8個並んだ形状で,屋根は緩やかな曲線になっています。銅板葺の屋根はいずれ緑青に覆われて表情を変えていきそう。

 建物の内側からそのシェルがつながっている様子を見上げる。仕上材にはスギが使われていて,木の香りがとても心地よく感じます。ギャラリーはシンポジウムなどに使われているそうですが,教会のような雰囲気もあります。 
  何気なく見過ごしてしまいそうな階段の足元。滑り止めに使われているのは,蹄鉄に用いるビスなのだそう。「魂は細部に宿る」はドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエの言葉。(「神は細部に宿る」とも。)
 
 エンゼル研究棟の講義室の天井。ヒノキの香りと,やわらかな照明に癒されます。こんな教室で講義を受けられる学生さんがうらやましい。
  研究棟のテラスから,庇部分の開口部を見上げる。東京の冬の空。
 
 周囲の「内田ゴシック」様式の建物との調和も配慮されているというこの建物,木造建築の美しさにほれぼれしました。美術館やギャラリーで見る建築の展覧会は,図面,模型,写真,CG映像など,さまざまなメディアから一つの造形物を見ることができてとても楽しいですが,実際の建物を見る,体感するというのもとてもexciting!です。
 
 かなり前に読んだ本ですが,建築まったく初心者でも読みやすかったのが「日本の近代建築(上・下)」(藤森照信著,岩波新書),神保町で見つけて面白くページをめくったのが「建築思潮1 未踏の世紀末」(学芸出版社,1992)。(あれ,20年も前の本!)

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