今回は,St. Victoire山を望むレ・ローヴの丘にあるセザンヌのアトリエを撮影した写真が並んでいます。(別コーナーに雪のシリーズの展示もあり。)三つの髑髏,セザンヌのコートやステッキ,棚の上のアルコールランプやガラス瓶など,セザンヌが配置してセザンヌが見ていたものなのだけれど,写真家のカメラのレンズを通してここにある写真を前にすると,「写真を見る私」はいったい何を見ているのか,この画面のどこを見ればよいのかがわからなくなってしまうのです。
会場では堀江敏幸のテキスト「灰白質のありか」を手にすることができます。助けを求めるように活字を追うのだけれど,堀江敏幸という作家の強烈な個性がこの文章にはあって,私はますますどうしてよいかわからなくなってきて,会場の中をいつまでもぐるぐると歩き続けてしまう。
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