東京都写真美術館でアーウィン・ブルーメンフェルドの写真を見てきました。ヴォーグなどのファッション誌を中心に活躍した「ファッション・ポートレイト全盛期の旗手」(展覧会チラシより)という写真家です。
「ハーパース・ハザー」や「ヴォーグ」誌などを飾った美しいカラー写真は,カラー復元されたリプリント版の展示です。凝った構図や技法が,まさに甦った色彩に彩られてとにかくかっこいい。プリントをぐるりと見せたあとで,それらが表紙に使われた雑誌を細い回廊のような展示で見せるなど,展示もとても洗練されている印象でした。
そしてヴィンテージ・プリント,自叙伝の展示へと続くのですが,モノクロのヴィンテージはカラー写真とがらりと印象が変わり,写真家の深い思索の世界へと導かれます。
圧巻は最後の「私のベスト写真100選」My One Hundred Best Photos。華やかなファッション・ポートレイトは彼の仕事の一部であって,ユダヤ人として生まれて二大戦に翻弄された写真家の人生の仕事の全体像を目の当たりにして心が震えます。写真とはまさに,「選び」そして「組む」「並べる」行為だと実感します。そしてこの100枚は彼の編んだ「詩集」に他ならないのだ,と。
写真集My One Hundred Best Photosは英語版が1981年にRizzoliから出版されていますが,入手は難しそう。何とか手に入れたいものだ,と燃えてきました。
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