2013-11-14

2013年10月,ブルージュ,メムリンク美術館/聖母教会などをめぐる

  三日目,10月30日はお隣の国ベルギーのブルージュへ日帰りバスツァーに参加してみました。気持ちのよい晴天です。オフシーズンで参加者は少ないかと思いきや,2階建てのバスは満員です。

  片道約3時間強の快適ドライブを経て,ブルージュ市街の南端にあたる「愛の湖公園」に到着。いきなりロマンチック度全開です。ベギン会修道院の敷地を抜けて街の中心部マルクト広場に向かい,そこから約4時間の自由行動。やはり少なくとも1泊はしたい規模の街でした。今も修道女が暮らすベギン会修道院。

  聖母教会は残念ながら内部改装中で,ミケランジェロの聖母子像とカラバッジョは12月まで見ることができないとのこと。うーん,残念。かわりに絵葉書を求めて,次はメムリンク美術館へ。街なかには観光客を乗せた馬車も行きかいます。
  メムリンク美術館は12世紀に造られた病院の建物の一部を利用していて,メムリンクの主要な作品ばかりではなく,当時の医療用具の展示もあり,かなり「イメージしていたブルージュ」の雰囲気を味わえる場所でした。

 というのも,出発前に知人に勧められて読んだのが「死都ブルージュ」(ローデンバック著,岩波文庫)。一体どんな幻想的な街だろうと妄想たくましくでかけたわけですが,まるで夏のバカンスの一日のような晴天が広がり,世界中からの観光客が楽しげに闊歩する様に,あれれっと脱力状態。

 気をとりなおしてメムリンク美術館。「聖ウルスラの聖遺物箱」はベルギー7大秘宝の一つです。ローデンバックの小説でも緻密な描写があり,おお,これが,と息を呑んで見つめる。「殉教に対する天使のような理解!天才であると同時に敬虔な一人の画家が思い描く天国の幻想。」(p.124より引用)
    ところでクノップフの「みすてられた街」(1904)はこの美術館の前景だと思い込んでいて写真を撮ったものの,どうも違う。メムリンクの銅像がある「メムリンク広場」は別の場所でした。いずれにしても,写っていたのは絵のイメージとはかけはなれた陽気な空気でしょう。

 街の中はチョコレート屋が軒を連ねていて,どこもお土産を求める人たちでにぎわっています。古いカード類を売る店では迷いながら5枚ほど選んだものの,お会計は1.5ユーロ(200円くらい)。もっとたくさん買えばよかったなあ,と後悔。ブルージュにはちょっと未練が残ります。
  あっという間に集合時間です。美しい中世の街並みをジオラマモードで撮ってみました。おもちゃのお城みたいで面白い1枚に。
 
 蛇足ながら,街のイメージは別として,男やもめユーグが亡き妻を思い,そっくりな踊り子を求めて街を彷徨う「死都ブルージュ」には印象深いフレーズがいくつも登場します。「ユーグはふたたびこうした宵をいくたびか経験した…完全な忘却!そしてそのやりなおし!時は小石のない河床を傾斜をなして流れていく…人は生きながらにして,すでに永遠によって暮らしているように思われる。」(p.51)「ユーグはこう思っていた。類似というものは,なんという不可解な力を持っているのだろう!と。それは人間性の相矛盾する二つの要求,つまり慣習と新奇さに応えるものである。」(p.63)
 
 さて,夜にアムステルダムに戻ってきました。4日目はアムステルダム国立美術館をじっくり堪能します。

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