2013-11-15

2013年10月,アムステルダム(4),アムステルダム国立美術館

 4日目,10月31日は一日ゆっくりアムステルダム国立ミュージアムRyks Museumに時間をかけることにしました。今年4月,10年に及ぶ改修工事が無事終了してリオープンしたということで,今回の旅行の大きな目的の一つ。改修工事の難航した様子が映画になったりもしていましたが,無事開館したことは世界中の美術ファンにとって幸せな出来事と言えるのでは。この日もたくさんの来館者でにぎわっていました。
 改修工事で,自転車ユーザーの市民から現状保存が熱望されたという,グラウンドフロアの通り抜け。運河側からミュージアム広場へこのまま通り抜けることができます。自転車もたくさん行きかっていました。
 
 内部はとても明るく,開放的な印象です。右翼と左翼の動線がややわかりにくい。ただ,途方にくれる広大さではなく,最初に目的を絞り込んでおけば一日で廻れるかな,という感じ。それにしても歩く距離はきっと膨大なことになりそう。まずは元気なうちに,目玉のフェルメールとレンブラントをおさえようと2階の「名誉の間」と「夜警の間」に向かいます。
 
 おお,フェルメールが4点並んでいるコーナーには開館直後というのにすでにたくさんの人。「牛乳を注ぐ女」と,手紙に関する作品が2点,「恋文」と「手紙を読む女」。そして「デルフトの小径」。日本だったらこの4点を見るのに4日かかるだろうなあ,というのが一番の感想(おい…)。そしてしばらく通路の反対側の椅子に座って観察していると,「牛乳を注ぐ女」の前はちょっとした撮影会場みたいになってきた。どうしてそんなに携帯で作品を撮りたいのだろう。絵葉書を買えばいいじゃないか,と写真を撮る人たちを写真に撮る(ちょっとピンボケ)。 

  レンブラントの「夜警」の前もたくさんの人が押し合いへし合い。日本の美術館みたいに「立ちどまらないでください!」と怒られながら鑑賞するのもなんだけど,がやがやした広場みたいな場所で見るのもなんだな,というのが一番の感想(おいおい…)。そういう意味ではレンブラントは「名誉の間」にある「ユダヤの花嫁」や自画像をじっくり見ることができたのがよかった。

 同じ「名誉の間」で強く印象に残ったのがフランス・ハルス。昨年の夏,「真珠の耳飾りの少女」と一緒に来日したにかっと笑う少年像が強烈だったけれど,彼の描く「黒」の表情に魅了される。黒い衣服。黒い帽子。黒い眼。迷っていたけれど,ハーレムにあるフランス・ハルス美術館へも足を延ばしてみよう,とこのとき決めました。

  さて,この美術館でぜひ行きたかったのが図書閲覧室。雑誌などで「世界の美しい図書館」」みたいな特集があるとよく登場するので,期待度満点。ドアを開けるとそこは夢のような空間でした。1階の入り口付近には世界中の美術館で開催されたオランダ美術の展覧会図録も配架してあり,日本の美術館の図録もきちんと並んでいました。アジア美術のコーナーには,今夏に東京国立博物館で開催された「和様の書」展の図録もあり,世界規模のミュージアム・ネットワークに感心する。
 さて,この日は昼食で一端外へ出たついでに近くのゴッホ美術館にも立ち寄ったこともあって,夕方5時の閉館時までにすべての展示室を廻ることができませんでした。まだ日程は二日残っているので,どこかで残りを見ることにしよう。次稿はゴッホ美術館と,夜になって訪れたアメリカンブックセンターです。

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